CNETセミナーのまとめ(2)はお昼に行われたパネルディスカッション、「モバイル検索の可能性」について。CNETでの記事はこちら:
ポータル大手6社が探るモバイル検索の可能性--CJICイベント(CNET Japan)
いくつかポイントをまとめると、
- パケット定額制の普及や、大手が相次いでサービスを開始したこともあり、モバイル検索は急速に利用者を増やしている。
- エンジンはリスティング型に加えて、ロボット型が登場してきている。クローリングの段階から対象キャリアを見極め、それぞれ個別のクローラーを用意するなど、携帯サイトならではの工夫をするサービスも。
- モバイルだからといって、キーワードが短くなるという傾向は見られない。長いキーワードも入力される。しかし個別の商品名や着メロなど、より行動に直結したキーワードが目立つ。
- ただし「GoogleでYahoo!を検索する」といった、「特定のサイトへとジャンプするための検索」は少ない。(短縮URLや空メールによるURL通知など、携帯サイトへと簡単にアクセスできる仕組みを各社工夫しているため?)
- ユーザーは女性と若年層が目立つ。
- PCのように、特定の時間に利用が増えるという傾向はない。いつの時間帯でも(深夜でも)一定の利用がある。
- PCのようにSERP⇔リンク先を行き来して情報を探す、という行動がしづらいにも関わらず、検索結果の精度はまだまだ低い。モバイル検索ならではの検索条件の指定方法や、結果のソート方法などが工夫されないと、使い勝手は向上して行かない。
- 通話口に向かって単語を話すと、音声認識して検索キーワードに変換してくれたり、メールを通じてキーワードの入力/検索結果の返信をしてくれるサービスなど、携帯電話ならではの検索方法が生まれ始めている。(関連記事:モバイル検索エンジンの発展)
といったところです。
これまで携帯電話向けコンテンツは各キャリアが用意(「公式サイト」という形で)し、ディレクトリ型メニューを設置、自社の端末からのみアクセスできるようにするというバーティカルな構造を取ってきました。キャリア主導だったからこそ日本の携帯電話向けコンテンツ市場が活性化したのだ、という評価はありますが、その反面いわゆる「勝手サイト」の成長を阻害してきたという点もあるでしょう。モバイル検索サービスは公式以外のサイトへのアクセスを容易にする道であり、個人やサードパーティーによる携帯電話コンテンツの充実を促すためにも、機能の進化が求められています。
しかし面白いコンテンツが公式以外のサイトになければ、検索サービスを使う意味がないという「タマゴが先か、ニワトリが先か」という議論になってしまいます。そこでモバイル検索ではPCの検索サービスと同様に、メタ検索的な機能に進化していく可能性を感じました。
例えばgooモバイルの例として、お店を検索すると、WEB検索結果から地図検索、経路検索へとさまざまな情報がシームレスに連携するという機能が挙げられていました。また携帯電話の利用特性の1つとして"killing time"(時間つぶし)という点があることが指摘されていましたが、特に当ても無く情報を探すという場合にも、メタ検索的な特性は役に立つでしょう。例えば、気になる芸能人のニュースをチェック→今夜、主演ドラマがスタートすることを知る→番組の開始時刻とチャンネルをチェック→主題歌をチェック、着うたをダウンロード、などといった「興味を引かれた情報を連鎖させる」ことが考えられます。
「これからのモバイル検索は、『ケータイを使って生活するための検索』になる。」
(NTTレゾナント、小澤英昭氏)
「モバイル検索は『検索ではなくナビゲーション』へ。」
(NEC、前田宏氏)
ディスカッション中には、こういったキーワードが度々登場してきました。各社実現する機能は違えど、「より『使える』情報に簡単にアクセスできるようにする」という方向性を目指しているように感じています。
追記:
ディスカッション中、携帯電話の「いつでも・どこでもネットにアクセスできて、コンテンツを探せる・作れる」という特徴がYahoo!の掲げる検索サービスのビジョン"FUSE"にマッチしていることが指摘されていました。
FUSEとはFind、Use、Share、Expandの頭文字を並べたものです。詳しい解説については、以下の記事をご参照下さい:
CJICレポート6:自社エンジンの開発で勢いを増すヤフー、検索サービスの方向性を語る(CNET Japan)
サーチのミッション・ビジョン(1)(エッセンシャル・サーチエンジン)
確かに携帯電話の携帯性は、"Share"という部分に適しているかもしれませんね。検索結果にユーザーの意見を簡単に投稿・反映できるような仕組みができれば、面白い方向に発展するかもしれません。
はじめまして。
私も昨日のカンファランスに参加していました。
感想としては、ブログ検索でなにかinnnovationがあるのかなあと期待していたのですが、質疑応答にあったように、まだまだ"当たり"だけをスクリーニングする仕組みは難しいようで、残念に思いました。
投稿情報: アリタケン | 2005/11/19 18:47
コメントありがとうございます。
そうですね、ブログ検索はまだまだ各社手探りといった状態のように感じました。モバイル検索の盛り上がりに対して、ブログ検索はちょっと手詰まりといった感じのような。
ブログ検索については、改めて記事をまとめてみたいと思います。
投稿情報: アキヒト | 2005/11/19 19:17