読売新聞のYOMIURI ONLINEで、SNSに関する記事が掲載されていました。
ビジネスにSNS活用(YOMIURI ONLINE)
内容はごく一般的なことなので、既にご存知の事例ばかりかもしれません(僕は「メイクリーンお仏壇本舗」SNSの話は初耳でしたが)。ただこうした大手メディアでブログ・SNSのビジネス活用が紹介されることで、いわゆるアーリー・マジョリティやレイト・マジョリティといったメジャー市場へとブログ・SNSが普及する足がかりになると思うので、小さな記事でも掲載されることは歓迎です。
この記事で注目したいのは、異業種交流の場としてのSNS活用事例。プライベートな交流を目的としたSNS(Mixiなど)や特定のグループ間の交流を目的としたSNS(看護婦向けSNS「ナースカフェ」など)に加えて、ビジネス上のネットワークを構築することを目的としたSNSというものも出現してきています(もちろんMixiなどオールラウンド型SNSの内でも、異業種交流を目的としたコミュニティというものはありますが、ここで言っているのはネットワーキングという目的に特化したSNSです)。
その最たる例は、読売新聞の記事でも紹介されている「PowerLink」でしょう。このサービスについては、以前も記事にしたことがあるので、こちらをご覧下さい:「特化型SNSの可能性」。PowerLinkは有料サービスで、全てのサービスが利用できる「トゥルーメンバー」となるためには入会金と年会費が必要になります。
実は僕もPowerLinkに登録してみたのですが、正直なところあまり活用できていません。いくつか理由を考えてみたのですが、
- プロフィールに詳細な職歴を登録できるのだか、「コミュニティ」機能が無いため、興味分野を通じたネットワーク構築がしにくい。
- 同じく「コミュニティ」機能が無いため、「参加しているコミュニティからその人の人となりを推し量る」ということができない。
- 「ビジネス上のお付き合い」を申し込むことに心理的な抵抗感がある。プロフィール検索で「今は特に案件はないがとにかく人脈を広げたい」人だけをピックアップすることができるのだが、そうした人たちに対しても「特に理由無いけどリンクしましょう」とは言い辛い。(とか言いつつ、何名かの方にはリンク依頼をしているのですが。)
- まだユーザー数が少ないため、リンクしたい人を見つけるのが難しい。(この点については、ある方から「そもそもリンクしたいと思わせるような人は、PowerLinkを使わなくてもネットワークを広げているだろうから、わざわざこのサービスに参加してこないのではないか?」という厳しい意見も聞きました。)
といった点が挙げられます。またリンクしていただいた方に対しても、単なる「名刺交換」以上の関係を構築するのも難しいと実感しています。
PowerLinkはまだ立ち上がったばかりで、足跡機能の追加など改善の動きを見せています。またユーザー数が一定まで増えれば、ネットワーク効果でさらに多くのユーザーが集まるかもしれません。しかしPowerLinkを見ていると、ビジネス上のネットワーキング「だけ」を目的としたSNSの限界も感じます。特に日本人はアメリカ人のようなネットワーキングが下手だとも言われますし、Mixiのように「自然と人間関係が構築される仕組み」があった方が、人々が参加しやすいのではないかと思います。
日本人が、ビジネスで人脈を広げるとはどういうことなのか。どんなプロセスがあり、そこにWEBベースのサービスがどう生かせるのか。そんな研究が進まないと、ネットワーキング型SNSの成功は難しいのではないでしょうか。
なるほど、なるほど、確かにそうですね。
前に六本木ヒルズにあるアカデミーヒルズの懇親会に参加したのですが、「仕事が欲しい~!」というのが見え見えの、ガツガツした人が沢山いました。
結局、あの人たちが登録するのかなぁ、と感じます。
ただ、彼らが知り合いたいのは、そういう人(自分みたいな人)ではないんでしょうね。
投稿情報: 大木豊成 | 2005/11/07 09:38
コメントありがとうございます。
仕事が欲しい!も場合によってはOKなのでしょうけど(というより、正しいビジネスマンのあり方なのでしょうが)懇親会やSNSのような場にはそぐわないような気がします。
そういった人向けにはSNSではなくて、以前の記事で書いた「aamall.jp」のような、サービスを売りたい人/買いたい人をつなぐWEBサービスが主流となってくるように思うのですが、しばらくはSNSが営業活動の場になるのかもしれませんね。
投稿情報: アキヒト | 2005/11/07 09:53
この種の SNS は需要と供給がとてもアンバランスな感じがします。
ちょっと極端に言うと、人脈を作りたい人が知り合いたいと思っているのはどちらかといえば広い人脈を持っている人であり、そういう人はそもそもそのような SNS を必要としないので SNS の中には入ってこない。そうすると SNS の中には「人脈形成を求める人脈のない人」が集まりがちになり、人脈が期待以上には広がっていかない、という状態になるのではないかなと思います。
投稿情報: tomoy | 2005/11/08 12:19
そうですね。SNS=一種のマーケットだと考えると、PowerLinkの場合、「売り手」と「買い手」のバランスが崩れてしまっていますよね。それを改善するためには、「売り手(人脈を持つ人)」を何らかの方法で呼んでくるか、マーケットのルールそのものを変える(直接リンクを求めるのではなく、趣味のコミュニティを通じて人間関係が形成されるようにするなど)しかないと思います。
SNSも淘汰されるサービスが出てきましたし、「どのような人間関係が」「どのように形成されるのか」という点が次第に明らかになってくるのではないでしょうか。
投稿情報: アキヒト | 2005/11/08 18:15