先日のCNETセミナーでも講演されていた、Ask Jeevesのプロダクトマネージメント バイスプレジデント、Daniel Read氏のインタビュー記事がCNETに掲載されていました:
Web 2.0が検索サービスに突きつける課題(CNET Japan)
個人的に気になったポイントをまとめてみると:
- ブログなどCGMの広がりにより、ネット上の情報量は増え続けている。大手検索エンジンは約100億ページほどをインデックス化しているが、この規模は10倍ほどに膨れ上がるだろう。さらにメタデータの量も急激に増えており、この情報を扱うことも検索エンジンにとって大きなチャレンジとなる。
- AJAXやFolksonomyなどといったWeb 2.0のトレンドは気に入っているが、すぐに採用するつもりはない。Flashが登場したときと同じように、使いすぎると逆に不便になってしまう場合もある。
- ユーザーが本当は何を望んでいるか、注意を払わなければならない。例えば検索オプション機能は、アンケートでは40~50%の人々が欲しいと回答する機能だが、実際に利用する人は1~2%しかいない。
「本当に大事なのはユーザーが要求する機能をただ盛り込むのではなく、ユーザーが使える形で用意することにあると思っています。例えば、検索オプションが望 まれているからといって、20個の入力欄からなる難しそうな検索オプションページを用意するよりも、もしかしたら検索欄は従来通り1つで、そこに入れた質 問に対してより高度な回答をすることのほうをユーザーは望んでいるのかもしれません。」
などなど。他にもパーソナライズ検索などについて、興味深い話をされています。
ネット上のコンテンツの増加、メタデータという新たな情報の増加は、検索エンジンに対して改めて「情報を検索するとはどういうことか」という問題をつきつけるものだと思います。最近「Googleは派生サービスばかりに気をとられて、本来の『検索』という機能を進化させることをおろそかにしているのではないか?」という意見を目にしました(すみません、どの記事だったか忘れてしまいました)。Googleが検索機能を軽視していたかどうかは別として、爆発的な情報量の増加により、「欲しい情報を見つける」というサービスのあるべき姿を実現することはますます難しくなると思います。
Web 2.0の技術は、検索エンジンに新たな可能性を開くものだと思います。例えばAJAXで優れたユーザーインターフェースを実現したり、Social Networkの思想を当てはめて「みんなで作る検索エンジン」というものが実現されるでしょう(実際、実現されています)。しかしRead氏が言う通り、Web 2.0ばかりに気をとられてしまうと、実は全体としては使えないサービスになってしまう危険性があるのではないでしょうか。AJAXでスイスイ画面が動くけど、けっきょく活用できない情報ばかりを拾ってくる検索エンジン--そんなものが生まれてしまうことを心配しています。
Webが1.0から2.0になろうが、はたまた3.0の時代が来ようが、結局はユーザーの視点から考えるのがサービス開発の本質だということを、このインタビューから強く感じました。
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