日本ではなかなか「社員ブログ」は公式に認められていません(このブログで自分の仕事のことを書かなかったり、書いたけど消したりということがあるのもその関係だったりします)。徐々に社員ブログの存在を認める企業も現れてきていますが、サイボウズさんのように、社員ブログのポータルページ(しかもRSSの一覧付き!)まで用意している企業は例外中の例外でしょう。
確かに社員が個人的に書くブログは、チェック&コントロールを利かせることができないという点で、企業にとっては恐ろしい存在かもしれません。もちろん守秘義務があることを書くのは論外ですが、日常会話で話す程度の内容でも、ブログに書くことを禁止している企業は多いようです。また同じ「社外向けコミュニケーション」でも、広報活動とは異なるスキルや思想が要求されますから、興味があってもどう対応していいか分からないという企業もあるでしょう。
しかし「恐いから全面禁止」という態度では、いつまでもブログを活用することはできません。そこで、「社員ブログ」活用の第一歩として、社員ブログを「リクルーター」と捉えてみてはどうでしょうか?
最近、学生向けにインターンシップを開催し、実際の仕事を体験することで理解を深めてもらう企業が増えています。例えば昨日の日経産業新聞でも、凸版印刷の取り組みが紹介されていました:
昨年は、夏にインターンシップを開き、百人を呼んで現場のマーケティングを体感してもらった。11月からは『凸版印刷カフェ』と題した小規模の相談会を51回開き、計1400人と会った。大人数向けの言葉では学生の心には触れられない。
(「採用戦略 我社こう責める -- 凸版印刷 現場体験や相談会開く」 日経産業新聞2006年2月23日第31面)
インターンシップや相談会が効果的なのは、学生は企業のイメージや業績に加え、実際の仕事内容やそこで働く人々の素顔に興味を持っているからです。一方ブログはまさに日々の業務や、社員個人の意見を発信するのに最適なメディアであり、学生向けのメッセージを発信するのに適したツールでしょう。しかも参加者や開催地域が限られてしまうインターンシップ・相談会に対して、ブログなら時間と場所に制限されずに学生達とコンタクトを取ることができます。
事実、日本テレコムでは以前、人事部採用担当の方がブログを開設して人気を集めました(日本テレコム 採用担当者のActive Report)。「うちの会社も、そろそろブログへの取り組みを・・・」と考えつつ、「社長(or役員)は書いてくれそうもないなぁ」という会社は、まずはWEB上リクルーターだと考えて社員ブログを公認してみてはどうでしょうか?
社員のブログについての想像です。
特許とか業務上の秘密とかがあるから、自分の査定にプラスになるような大発見などは、あまり書けないと思う。
といって、マイナス面、失敗ばかり書くと、上司や人事が覗いて査定に響く。
で、どうしろと。
「今日の昼ご飯」的なブログが大量発生する…
投稿情報: itochan | 2006/02/26 23:41
>「今日の昼ご飯」的なブログが大量発生する…
ガチガチに縛るようなポリシーを作ってしまうと、確かにそうなってしまう危険がありますよね。減点法の評価形式を採用している会社だと特に。
このエントリはさらりと書いてしまったのですが、組織戦略や人事戦略など、突き詰めれば突き詰めるほど・・・的な話だと思います。
投稿情報: アキヒト | 2006/02/27 13:47
質問。
社長ブログは社長が書くべきかどうか
について一言おねがいします。
投稿情報: itochan | 2006/02/28 15:09
社長が書くべきだと思います。「ブログ特有の文体」というものはあると思うので、社長自身がタイプしなくても良いとは思いますが、内容は自分で考えるべきでしょう。何よりもそれが、自身のコミュニケーション力を磨くことになるとも思いますし。
投稿情報: アキヒト | 2006/02/28 15:17
回答ありがとうございました。
社員ブログですらあれこれ悩むようなら、社長でさえ株主の顔色伺いながら書くべき内容を悩まなきゃいけないだろうし、
場合によっては株価すら上下したりするんじゃないかなと思って。
そもそも広報の人の仕事を減らしているような気がしました。
だって広告するための広報課でしょ?
社長ブログが書きやすいかどうかは、会社の人数や運営体制、業種にもよるんでしょうね。
投稿情報: itochan | 2006/03/01 01:57
確かに社長ブログが書きやすいかどうかは、会社の組織体制にもよりますよね。また広報との関係というのは、よくよく考えなければならないと思います。社長ブログも含めたビジネスブログ≠(もしくは≒)広報、だと思うので。
投稿情報: アキヒト | 2006/03/04 11:51