最近の雑誌『クロワッサン』に、ジャーナリストの有田芳生さんが書かれたこんな記事がありました。舞台はある沖縄料理店。有田さんと友人達が、ある数値について語り合います。「126に下がった」と喜ぶ人、「おれは28」とさらに嬉しそうに言う人。有田さんが「200を超えた」と小さな声でささやくと、「ぼくは300です」と威張る人も。すると見知らぬ男が「オレは1000までいったことがあるよ」と語りかけてくる--そんな話です。
彼らが話しているのは、実はγ(ガンマ)-GTPという値で、正常な人間の場合60以下であるとされています。60以上はアルコール性肝障害や脂肪肝などと診断され、酒を飲めば上昇、制限すれば下がるとのころ。要は酒飲み・不健康の指標というわけです。
γ-GTPに限らず、「不健康自慢」「ケガ自慢」を聞くことって、意外に多いような気がします。一種の武勇伝として語られる、という側面もあると思いますが、人間は自分の病気を他人と共有したがるものなのかもしれません(この一文、「病気をうつしたい」「病気について知って欲しい」のどちらの意味で捉えてもらってもかまいません)。だとすれば、これはもう流行に乗ってSNSにしてしまうしかないでしょう!
例えば先ほどのγ-GTPを例に取ると、日々飲んだアルコール類の情報と、検診時のγ-GTPデータを入力できるようにしておきます。情報はもちろん他のユーザーと共有できて、「γ-GTPが200以上・男性」といった条件や、「毎日アルコール類を飲んでいるけどγ-GTPが60以下」といった条件でユーザー検索することができます。日記を付けることも可能ですが、さらに皆にアピールしたい場合には「武勇伝機能」があり、「オレは依然1000を超えたことがある!」「500だけど毎日酒を飲み続けてるぜ!」といった自慢話(?)を書くことができます(武勇伝には投票機能が付いていて、得票の多い記事はトップページでランキング表示されます)。
ビジネスモデルもばっちり。基本的に酒好きが集まってくるはずですから、アルコール類の販売会社から広告を集められるでしょう。またユーザーが登録した日々の飲酒データを解析して、日本酒を飲む傾向が強いユーザーに「天狗舞はどうですか?」みたいなプロモーションをかけるとか。いっそのことEC機能を付けて、物販で儲けるという可能性もあるかも。またユーザーに対する有料プレミアムサービスとしては、γ-GTPデータ・飲酒データを解析して、医師が適切なアドバイスをしてくれるというのはどうでしょう。ついでに保険とからめて、「月々1,000円であなたの命を守ります・万が一の時も安心!」とか。
こんなSNSを期待するのは妄想でしょうか?確かに悪ノリした一面もありますが(こんなSNSにどうやってユーザーを集めるのかっていう問題もあるし)、ダイエットの努力をブログ/SNSで共有するということは既に始まっています。もちろんダイエットは病気ではありませんが、「苦しんでいること・治そうと努力しようとしていること」という範疇では、同じ分野にあると捉えることができるのではないでしょうか。
いまSNSを使いこなしている若い人々も、これから年を取り、様々な病気とお付き合いするようになります。「病気自慢SNS」的な発想が現れるのも時間の問題だと思っているのですが、どうでしょうか?
>「ぼくは300です」と威張る人も
ミディクロリアン値自慢大会かと思った。
「この中に、ひとり暗黒面に落ちるやつがいる!」
投稿情報: Bar | 2006/04/27 20:22
Barさん、そういうネタ好きですw
そういえばこないだのエイプリルフールネタで、ウルトラマンのSNSなんてありましたが・・・
投稿情報: アキヒト | 2006/04/28 10:12
病気の数値自慢というわけでもないんですが、医療の本には、載っていない病気の細かい症状や副作用をお互いに提供し合えればいいなあと思っています。
医師は、患者の訴える副作用については、なかなか認めてくれないんですよねー。
投稿情報: 病気SNS illness スタッフ | 2008/08/31 03:32
古い記事に申し訳ありません。
少しずつ、会員様が増えてきました。
私も病気を罹患しているので分かりますが、一般に公開されたブログには書けないことがたくさんあるようです。
長文の日記に長文のコメント・・・・・・・
病気をもっていると、声を上げたくても、心に抱えてしまいこんでしまうことが多いようです。
googleで、『病気ブログ』 『病気SNS』で検索すると貴ブログがヒットするので、ついお邪魔してしまいました。
投稿情報: 病気SNS illnessスタッフ | 2008/10/17 17:16
病気SNSの登録会員が300名になりました。
wikipediaの項目に登録され、病気SNSのバナーを貼って頂ける方も増えてきましたので、これからも地道にがんばって行こうと思います。
投稿情報: 病気SNS illness スタッフ | 2009/07/09 23:00