「そこに山があるから登る」と言った登山家(ジョージ・マロニー)がいましたが、人間は挑戦されると挑まずにはいられない生き物のようです。今日の日経流通新聞に、「そば」の資格が地域活性化に貢献しているというニュースがありました:
■ 東京・神田、そば通認定で活気 -- 江戸の粋、現代に復活(日経流通新聞 2006年5月1日 第11面)
資格の名前は「江戸ソバリエ」。由緒あるそば屋の多い東京都千代田区にあるNPO法人・神田雑学大学が開設した資格で、10軒以上のそば屋の食べ歩き、そば打ち体験、リポート提出などを経てそば通を認定してくれるというもの。2003年に開始し、既に約800人が取得しているそうです。これにより、食べ歩きだけでも千代田区周辺のそば屋に大きな経済効果が生まれたほか、サークル活動がにぎわって地元の活性化に大きく貢献しているとのこと。
もともと「千代田区のそば」という商品に魅力が備わっていたことが成功の最大の要因だと思いますが、「資格」という軸が与えられたことにより、人々の関心が収束して地元をにぎわすまでになったのでしょう。そう考えると、「資格化」という戦術は「ある対象への関心を具現化させるもの」として他分野でも応用できるかもしれません。
例えば、シロクマ日報の方で何度か記事にしたのですが、最近「ITで島おこしをしよう」という島が現れました(参考記事:「ITで島おこし」「ITでローカル体験」)。伊豆七島の1つ・式根島という離島の話なのですが、江戸ソバリエのアイデアをそのままパクって、「離島検定」なんてのを設立できるかも。式根島にどんな「人々(特に東京都に住むファミリー層)の関心を引くモノ」があるのか分かりませんが、そういったモノを網羅するかたちで試験問題・試験演習を組み入れれば、良い観光案内にもなります。このアイデアは既に「京都・観光文化検定」「江戸文化歴史検定」といった地域特化型検定として実現されていますね。
また人々の健康志向に乗っかって、「健康検定」なんてのも考えられるかもしれません。例えば以前「病気自慢SNS」というエントリで書いたγ-GTPという値(アルコール性肝障害や脂肪肝を診断するための指標)に関する「γ-GTP検定」なんてどうでしょうか。ちょうどフィナンシャル・プランナーのようなイメージで、医師としてではなく専門家としてγ-GTPを減らすアドバイスを行う「γ-GTPアドバイザー」を認定する試験です。また以前から「タギング検定」などと冗談で言っていますが、冗談抜きでフォークソノミーを実現するための技術を認定する「フォークソノミー検定」なんてのを実施する団体が現れるかもしれません(さすがにWeb2.0検定だけはありえないですが・・・)。実際ファイリング技術を認定する「ファイリング・デザイナー検定」があるくらいですし(参考記事「半分捨てろ」)。
ちょっと考えただけでも、資格化は地域活性化・関連書籍の販売・関連講座の受講料収入・検定試験料・認定された資格の登録料などなど、様々な派生ビジネスを生みます。人々が挑戦したくなる「山」を作る試みは、今後も盛んに行われていくのでしょうね。
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