社会人1年目の時、「対応が遅れた案件一覧」という簡単なプログラムを納品したことがあります。オーダーの登録日と、それに紐付く商品発送日を取得し、「商品発送日マイナス登録日」の大きな案件から順にソートして表示する、というごくごく単純なもの。しかし単純な内容であったにも関わらず、お客様には一番「ウケた」プログラムでした。その理由は、「案件の担当者」を表示する欄があったこと。「○○さんこれヤバイよ~」「意外に○○さんの作業が遅いんだね」といった反応が生まれ、変な意味ですが大人気の機能となりました。
どうも会社員には、どんな数値でも「見える化」されてしまうと競いたくなる、という習性があるようです。今日の日経MJにこんな記事がありました:
■ 拝見IT活用法 -- 日本マクドナルド健保組合 社員の歩数計 ネット管理 -- 楽しく順位競争、景品も(日経流通新聞 2006年8月8日 第9面)
日本マクドナルド健保組合が導入した、「歩数計とインターネットを組み合わせて社員の健康維持を促す」というシステム。仕組みは簡単で、健保組合員にPCと接続できる歩数計を配布し、定期的に歩数データをネットにアップしてもらうというもの。歩数は日別に計算され、時間帯ごとの歩数をグラフ表示することも可能だそうです。しかし最大のポイントは「ネットを通じて同僚の歩数を閲覧したり、職場での自分の順位が確認できたりする」というところ。これにより知らず知らずのうちに競争心が芽生え、「あの人には負けたくない、と思ってついつい多めに歩いてしまう」のだとか。
ちなみに歩数計を使うモチベーションアップの施策として、ネットで記録した歩数をポイント変換してくれる仕組みもあるそうです。現在の交換レートは「1000歩=1ポイント(1円相当)」で、旅行券などに交換できるとのこと。しかしやはり最大のモチベーションとなるのは、「あいつには負けたくない!」という競争心なのではないでしょうか。
例えば営業の現場で個人の成績を貼り出すように、「見える化」+「比較可能」を実現することでやる気を引き出すというのは普通に行われています。ネットとIT技術の進歩により、それが「歩数」のような分野でも可能になったわけです。あまり競争ばかりになってしまっても問題ですが、「自動販売機で飲み物を買った回数(種類別)」や「用事の多い人(スケジュール管理ソフトに入力されたデータ件数)」など、冗談のレベルで「見える化」してみても面白いかもしれません。また他人と競争するだけでなく、「過去の自分(を計測したデータ)と競争する」という方向性もありですよね。
< 追記 >
ちなみに「自分の行動が数値化されるだけで、他人から命令されなくても自主的に改善するための行動を取ってしまう」というのは、心理学的に証明されている行動だそうです。詳しくはこちらを:
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