先日「枢軸地図」という芸術作品をご紹介しましたが、同じアーティストの方がもう1つ面白い作品を開設されていました。人々の失恋話を可視化して表示する、という一風変わったもの:
■ The Dumpster by Golan Levin
ニューヨーク在住のアーティスト、ゴーラン・レビン氏の作品。実在のブログからデータを抽出した、20,000件にもおよぶ失恋話が収められているそうです。上記のページにある"ENTER PROJECT"というボタンをクリックしてみて下さい。すると、こんな画面が表示されます:
中央に表示されている無数の泡のようなものが「失恋話」。1つの泡が1つの話に対応しています(大きさは情報量を示す)。どれでもいいので、1つの泡をクリックしてみると:
こんな風に選択した泡が黄色く、大きく表示され、吹き出しがついて失恋話の内容を確認することができます。ちなみに上のスクリーンショットに表示されている話はこんな感じ:
…彼は私を捨てた。彼はひどく汚い、傷つくような言葉を言った。…私の誕生日があった週の週末に、彼は他の女の子とキスをしてた。その子の名前は、なんと、私と一緒。それに私と一緒で、感情の起伏が激しいタイプだった。私は多分…
おおぅ、なんかそれっぽい話ですな。ちなみにプロパティを画面下で確認することができて、この話は「作者:女性、年齢不詳、2005年10月28日(土)投稿」とのこと。
このように1つの泡を選ぶと、それに似た話(作者の年や性別、シチュエーションなどが近いもの)を探すことができます。画面に表示されている泡の中で、より赤く・明るく表示されているものが関連性の高い話。また画面左サイドにある細長いセクションは、収録されている20,000件の失恋話の全体像を示していて、こちらも赤く・明るい色で表示されている点が関連性の高い話を示しています。
自分から近い話を探しに行ってもいいのですが、1つの泡を選んで放っておくと、赤い泡(=関連する話)がひとりでに集まってきます。こうやって探した泡を次々にクリックしていくと、こんな風に様々な話が表示されていきます:
と、芸術作品なんだか、何かの役に立つサービスなんだかよく分からないのですが、触っているとついつい失恋話を読みふけってしまいます。それがこの「作品」のインターフェースがなせる業なのか、それとも単に他人の不幸話が好きなだけなのかは分かりませんが・・・。
しかし人々の「話」をグラフ化する試みというのは面白いですね。グラフという客観的な見せ方でありながら、フワフワと動く泡を見ていると、なんだか感情を持った生き物がいるような気になってくるから不思議です。小説家やシナリオライターが恋愛ものの話を書くときに、アイデア出しのツールとして使えるかもしれない・・・などと実用的な使い道を探すよりも、1つ1つの泡に込められている感情に思いを馳せる方が正しいのかもしれません。
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