某社が六本木から品川に移転しました。しかしシステムの移行が上手くいかず、某社に所属している僕は週末から会社のメールが見れないまま。大きな声では言えませんが、かなり無駄な時間が費やされています。
で、そんな時にありがたいのは「社内情報を熟知している人」。彼/彼女に聞けば、例え社内ネットワークにアクセスできなくても(そして客先暮らしをしていたとしても)、社内の状況を把握することができます。
そんな「人間版Google」を意図的に作り出そうと努力している企業もあるようです:
■ 百貨店コンシェルジュの極意 (日経流通新聞 2006年11月3日 第14面)
先週金曜日のMJに載っていた記事なのですが、最近大手百貨店では「コンシェルジュサービス」の導入が広がっているのだとか。もともとホテルで宿泊客のために、観光に関するアドバイスやチケットの手配をするのがコンシェルジュなわけですが、「百貨店コンシェルジュ」は買物に関するお手伝いをするのが仕事なのだとか。
例えば渋谷西武のチーフコンシェルジュ・藤村政一さんの話。渋谷西武にはベビー用品売場はないそうなのですが、来店客から「知り合いに子供が生まれたので何かいいものはないか」と相談された際、藤村さんは「(店内にある)エルメスには乳幼児向けの靴下や帽子がある」ことや「(こちらも店内にある)スタージュエリーでは銀製スプーンに名前と生年月日を入れるサービスを行っている」ことなどを案内したそうです。
こういったサービスについて、藤村さんは「日々、店内を見て回ることで、売り場がなくても来店客に有益な回答ができることもある」とコメントしています。そこで渋谷西武では、勤務シフトの中に店内を巡回する時間を設けているそうです。「コンシェルジュ=渋谷西武の人間版Google」と考えれば、「巡回の時間=クローリング」と捉えられるでしょうか。こうしたクローリングの結果、「売場の入れ替えや品揃えの変化を確認する」「店員と会話することで売れ筋情報が分かる」「店内のどこに何があるかだけでなく、売場の誰を訪ねれば良いかまで分かる」といった効果まで出ているそうです。
さらに高島屋東京店のコンシェルジュは、ライバルである三越のコンシェルジュとも頻繁に情報交換し、高島屋に売場のない商品については三越で探すことを案内するのだとか。またコンシェルジュだけでなく電話交換手とも情報を共有しているということで、こうなるとまさしく「人間版検索エンジン」という表現がピッタリです。
検索エンジンが登場して、何でも「ネットで検索すれば良い」という風潮になりつつありますが、ここで紹介されているコンシェルジュのような人々は企業にとって貴重な存在ではないでしょうか。消費者を相手にする商売でなくても、社内向け・法人向けに同じ活動をする人物に対するニーズがあるはずです。情報システムにおける検索をどう実現するか、それを考えるのはもちろん大切ですが、人力で情報収集する仕組みを構築しておくことも重要なのではないでしょうか。特にデジタル化されていない情報をどうやって「クローリング」するか -- 渋谷西武のように、業務の一環として社内巡回を設けても面白いかもしれません。
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