毎度おなじみ海外ブログの翻訳なのですが、「死亡前に検死をする」というユニークな思考法について。「プロジェクトの失敗を防ぐために、みんなで先に失敗の理由を考えてみよう!」というテクニックが紹介されていました。
■ The PreMortem - anticipating a plan's weaknesses (Anecdote)
英語で検死のことを"postmortem"というのですが、post(後) ではなく pre(前) に解剖するという意味を込めて""PreMortem"という名前が付けられています。どのように行うかというと:
- 準備する
関係者を集め、これからの作業に向けてリラックスしてもらう。関係者には事前にプロジェクトの計画について情報を与えておき、それに精通しておいてもらうこと。 - 悲惨な結末を思い浮かべる
プロジェクトが大失敗している様を思い浮かべてもらう。小さな失敗ではなく、プロジェクトはおろか参加したメンバーまでバラバラになってしまうような悲惨な大失敗を。 - 失敗の原因を挙げる
「なぜそんな大失敗が起きたのか?」を考える(個人毎に)。考えたら紙に書き出す。 - 意見を寄せ集めて「原因リスト」を作る
個人で考えた失敗原因を寄せ集めて、リストを作る。 - 計画を再検討する
作成したリストの中から重要性の高い原因をいくつか選び、対策を考える。 - 定期的に「原因リスト」を見直す
上記のステップを定期的に繰り返し、発生しうる問題に対して警戒を怠らないようにする。
という流れだそうです。ちなみに元々は"Intuition at Work"という本で紹介されているテクニックとのこと。
「大失敗している様を思い浮かべる」というのがユニークですね。社会人として経験を積んでいれば、大失敗したプロジェクトの1つや2つは経験していることでしょう(「オレのいるプロジェクトはいつも大成功だぜ!」という人にはあまりお目にかかりません)。その時に何が問題だったか・どうすれば良かったかという知識を呼び起こして、目の前で始まろうとしているプロジェクトに当てはめてみるというのは、過去の教訓の活用に他なりません。
本当はこのような「過去の教訓を活かす」という行動は、各プロジェクトの最後に行われるべきもの(プロジェクト終了の段階で関係者を集め、反省会を開くなど)でしょう。しかし現実には、時間がない・既に次のプロジェクトが始まっている・過去は早く忘れたいなどの理由で、きちんとした振り返りが行われないのが普通です。であれば、現プロジェクトの「後に」ではなく次プロジェクトの「前に」振り返りの時間を持つというのは、有効なテクニックだと思います。
この「脳内検死」、プロジェクトだけでなく料理やスポーツなど、様々な分野にも応用できるかもしれませんね。しかし「大失敗している様を思い浮かべる」と、逆に悲観してしまって始める前から萎縮してしまう、という逆効果が起きてしまう危険性があるかもしれませんが・・・。
アプローチが面白いですね。
ネガティブな発想を逆に問題解決に応用する点が非常に興味深いです。
投稿情報: 164 | 2006/12/16 15:21
164 さん、コメントありがとうございます。
一種の逆転の発想かもしれませんね。成功するために
「成功の要因」を追い求めるのではなく、「失敗の要因」を潰すという。いわゆる「プロジェクト」だけでなく、日頃の行動にも応用できる発想だと思います。
投稿情報: アキヒト | 2006/12/24 23:10