シロクマ日報でも書いた通り、"Founders at Work"を読み始めました。手にしたきっかけは Guy Kawasaki がブログで絶賛してたからというミーハーなものでしたが、インタビューの相手が注目を集めているITベンチャー企業の創業者ばかりということで(公式サイトで登場者の名前を確認できます)、さすがに面白い。Babson College に在学中だったら、多分どっかのクラスでテキスト用に買っていたと思います。
で、今は Flickr の創業者である Caterina Fake さんのインタビューを読んでいるのですが、こんなコメントが出てきます。長いのですが、面白いのでちょっと引用:
When we started it, we were under this deluded idea that we wanted to create something new, but not a photo-sharing site. This is weird, but one of the things that enabled us to innovate within this space was that we hadn't done our research. We hadn't sat down and said, "We're going to build a photo-shaing site. We're going to do the research, figure out what the business model is, and raise some venture capital." We were naive and optimistic.
(始めたときは、何か新しいことをしたいと思っていましたが、それが写真共有サイトだとは思っていませんでした。奇妙に思うかもしれませんが、私たちがこの分野でイノベーションを起こせたのは、リサーチしなかったからでした。「写真共有サイトをやるぞ。リサーチして、ビジネスモデルを考えて、ベンチャーキャピタルから資金を得ねば」と腰をすえて考えたわけではないのです。私たちは世間知らずで、楽観的でした。)
What we did was just start building stuff. And I think if we had sat down and done the research, we would have looked at -- the companies that had actually made businesses in this area, like Ofoto, Shutterfly, and Snapfish. Basically their model was that photo sharing was a loss leader for photo finishing services. It was all about the funnel to get you into buying prints. Photo sharing wasn't seen as a valuable enough activity that people would pay for that itself. So I think our naivete was what made the whole thing possible.
(私たちは、単に作り始めただけでした。もし座ってリサーチを始めていたら、既に事業を展開している他のサービス -- Ofoto (※注:現在は Kodak EasyShare Gallery に名称変更)、Shutterfly、Snapfish (※注:HPにより買収済み) などが目に入っていたことでしょう。基本的に他社のビジネスモデルは、写真現像サービスにつなげるため共有機能を提供するというものでした。全ては写真をプリントアウトさせて代金を得る、というモデルだったのです。写真共有自体でお金が取れるとは考えられていませんでした。だから私たちが甘い考えをしていたことが、全てを可能にしたのだと思います。)
「リサーチしなかったから成功した」ですか。もちろん何の調査もなしで行き当たりばったりにしていては成功しないと思いますが、「他の先行事例を見ていなかった」というのは結構重要だと思います。もし他社を研究していたら、「今から始めても勝てないんじゃないか」と考えて始める前から止めてしまったり、「他社はこういうモデルで上手くいっているから、それを微調整して優位に立とう」と考えてまったく新しいモデルを考えることを放棄してしまっていたでしょう。リサーチすることは、実は諸刃の刃だったりします。
リサーチによって失敗のリスクを減らしつつ、それが大胆な行動を取ることを潰してしまわないようにバランスを取る。例えば十分な人員がいるならば、半数には徹底的なリサーチをさせ、残り半数には余計な知識ゼロでアイデアを練らせる -- そして最後に両者をぶつける、といった仕掛けが必要なのかもしれませんね。
こんばんは、モカです。
いい記事でしたので、トラバさせていただきます。
なんか最近いろいろと考えていたことが、軽く飛んだ気がします^_^
投稿情報: モカ | 2007/03/21 01:05