いま"Made to Stick"という本を読んでいます。副題に"Why Some Ideas Survive and Others Die"とあるように、メッセージを効果的に伝えるためにはどうすればよいか?を論じた本なのですが、こんな例が出てきます:
<実験1>
紙とペンを用意して下さい。15分使って、頭の中に浮かんだ「白いもの」を書き出して下さい。
・・・時間のある方は、実際にお試しを。終わったら、続けて実験2のスタートです:
<実験2>
同じく紙とペンを用意して下さい。15分使って、頭の中に浮かんだ「冷蔵庫の中にある白いもの」を書き出して下さい。
・・・どうでしたか?もう狙いはお分かりかもしれませんが、実験2の方が多くのモノを思い浮かべることができる(はず)でしょ、という話です。よく考えると不思議な話ではなく、私たちの記憶は何かと結びついて存在しているため、何かの「きっかけ」が与えられる(例えば特定の音を聞いたり匂いを嗅ぐ)と記憶が呼び出される、ということが起きるわけです。
で、本題というか紹介したかった記事ですが、この「きっかけ」に「ポーズ」も有効だということが実験で証明されたとのこと:
■ Body position affects memory for events (Cognitive Daily)
"body position"、すなわちポーズや姿勢など何かの動作をしているように体を動かすと、それに結びついた記憶が呼び出されやすくなるそうです。例えば過去にバスケ部だった人は、バスケをしているかのように体を動かすと、過去の試合中にあった出来事が思い出しやすくなる……といった具合。平均年齢が70歳のグループと22歳のグループで実験が行われ、両方のグループで「特定のポーズを取ってもらった人々の方がよく思い出す傾向が高い」という結果が得られたと紹介されています(当然ながら、若者の方がその効果は高いのですが)。
この実験結果を受け、記事の最後では「1993年のワールドシリーズのことを思い出したければ、ビール片手にリビングのソファに座るといい」という一言でしめられています。冗談っぽいですが、意外に有効な手段かもしれませんね。プログラマーなら実際にPCの前に座ってタイプしてみる、料理人ならキッチンに立って包丁を振るってみるなどという行為が、記憶を呼び覚ますきっかけとなるかもしれません。
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