メントスと言えば、最近はもっぱら例のビデオがらみで取り上げられていますが、新たにこんなサイトを始めたそうです。言うなれば"Subservient Chicken"の人間版、的なネタ:
嘘か本当か分かりませんが、シンシナティ大学生でメントスのインターンをしているという「トレバー」君(ちなみにブログやMySpaceのプロフィールまであります)が登場し、ユーザーからのリクエストに応じて行動するというもの。画面上にある"GIVE ME WORK"というメニューから命令を送信することができます。
残念ながら週末に入ってしまい、7月2日までトレバー君のライブ映像を見ることができないのですが、過去の映像も用意されています。またDiggのコメントなどを見ると、画面上に表示されている電話番号にかけると本当に彼が応対するようですね。彼が本当のメンターかどうかは別にして、ライブで消費者とコミュニケーションしているのは本当のようです。
ちょうどタイミングのよいことに、先日WOMCOMの吉田賢さんから『クチコミのチカラ―ビジネスに生かすクチコミ・マーケティング』という本をいただきました。クチコミを活用したマーケティングについて、その歴史の解説と体系化・将来の展望を行うという内容です。その中で、クチコミの「伝播力」の発生源として2つの要因が挙げられています:
- 情報価値の高さ
まだ誰も知らない貴重な情報や、その情報を得たことによって生活にインパクトが与えられるなど、情報自体に価値が備わっているもの。 - エンターテイメント性
情報自体に価値や重大な意味はないが、思わず笑ってしまった、衝撃を覚えた、共感したなど感情を揺さぶるようなもの。
この分類で言うと、メントスの新バイラルキャンペーンは完全に「エンターテイメント性」を模索するものと言えますね(ちなみに同書でエンターテイメント性によるクチコミの典型として紹介されているのが、メントス+ダイエットコークの事例です)。「新製品発表をブロガー限定で行う」などといった仕掛けと違い、このサイトの存在を知ったところで何の価値もありません(僕がいままさにしているように、「メントスがこんなキャンペーンを始めたの知ってた?」と話題にすることはできますが)。しかしトレバー君が「思わず笑ってしまう」ような話題を提供することで、人々がメントスについてクチコミする……かもしれないわけです。
ただ前述したように、「入力されたコマンドに画面内のキャラクターが反応する」という点では、Subservient Chicken (ちなみにこれも『クチコミのチカラ』で「エンターテイメント性」によるクチコミの事例として分類されています)の二番煎じ。従って衝撃の強さという点では劣ります。また同書ではエンターテイメント性を追うことの危険性として、「アイデアの捻出に行き詰ったり、飽きられたりしやすく、クチコミの波及効果は継続性に欠ける」ことが指摘されています。メントス+ダイエットコークの場合、「ダイエットコークをメントスに入れたら大爆発!」という最初のビデオに衝撃を受けた消費者が次々と別の実験ビデオを作製し、最終的にはボトル100本以上をつぎ込んだ芸術作品が登場するという発展があったわけですが、トレバー君ではそんな「消費者の参加」は見込めそうにありません。果たしてトレバー君のキャラだけで、どこまで話題性を引っ張ることができるでしょうか?
いずれにしても、エンターテイメント性でクチコミを狙う企画のケーススタディとして、どんな結果になるかフォローしてみる価値はありそうですね。興味のある方は、トレバー君に「仕事」を命じてみても面白いのでは?
コメント