廃れかけたサービスでも、まったく新しい使い方を考えてくれるユーザーが登場するかもしれない……という話。「銭湯」というと、もはや「スーパー銭湯」といった健康ランド的な生き残り方しかないように感じますが、実はジョギング愛好者の利用が増えているのだそうです:
■ 【独女通信】東京マラソン体験談 独女だってやる気になれば走れます!(livedoor ニュース)
「みんなでわいわい旅行に行くのも楽しいかも」とマラソンのことは考えず、会社のホノルルマラソンツアーに参加したという紗香さん(27歳 IT関連)。「週2回走ることを目標にしてます。平日は、会社が終わった夜、神田の銭湯で着替えて、皇居1周5キロを、1~2周走ります」。
(中略)
紗香さんのように、銭湯に荷物を預けて走り、走り終えた後は汗を流して帰る、そんな、ランナーを“銭湯ランナー”と呼ぶそうだ。東京マラソンの影響で、昨年夏以降“女性銭湯ランナー”が増加。
ということで、
- 荷物を預けられる
- トレーニングウェアに着替えられる
- 汗を流した後に風呂に入れる
という3つのメリットから、ジョギングに銭湯を利用する人「銭湯ランナー」が増えているのですね。で、その動きに銭湯業界(?)の方も反応を始めているようです。今朝の日経新聞にこんな記事がありました:
■ ジョギング 銭湯を起点に -- 港区が新制度 更衣室代わりに戻ったら湯船へ (日本経済新聞 2007年8月29日 第37面)
例によってネット上に記事がないので、要点をまとめておくと:
- 東京都港区は9月から、ジョギングを楽しむ人が銭湯を更衣室代わりに使い、走った後に汗を流せる「銭湯ランナー」制度をスタートさせる。
- 銭湯へ寄って一般利用者と同じ料金(大人430円)を払えば、着替えなどを預けてジョギングに出かけることができる。
- 9月1日から、港区が協定を結んだ8カ所の銭湯を利用できる。
- 銭湯ランナーを5回体験すると、12月2日に開かれる「お台場海浜マラソン」の参加優先枠が得られる。
ということで、銭湯の利用拡大を狙い「銭湯ランナー」を制度として定着させる動きです。ライブドアの記事が今年4月ですから、ちょっと反応が遅い気もしますが、生まれつつある流行をうまく拾おうとする行動ではないでしょうか(ちなみにスポーツメーカーのミズノは、今年3月の時点で「銭湯ランナー」対応を始めていたという記事もありました)。
この「銭湯ランナー」を初めてトライした人は、きっと銭湯の主人から「変なヤツが来たな」と思われたのではないでしょうか。脱衣所でハダカになるのではなくトレーニングウェアに着替え、風呂に入るのではなく外に走りに行こうとするのですから。しかしそんな人々を「入浴以外の目的で利用してもらっちゃ困る!」と閉め出すのではなく、便宜を図ってあげたの結果がこの流行を生んだのかな、と思います。いや、ユーザーの行動には本当に注意を払っていなければいけないのですね。それがたとえ、提供している商品/サービスの本来の利用法でなかった場合でも。
ちなみに「銭湯ランナー」ですが、まだ彼らをターゲットとしたサイトはないようです(僕がここ15分で検索した限りにおいては)。銭湯をジョギング基地として定着させたいのであれば、指定したエリアで「銭湯ランナー」を支援している銭湯が検索できて、ついでにモデルルートを提案してくれるサイトとかあっても面白いかも。
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