ScienceDaily からのネタが続きますが、これも多くの方にとって興味のあるテーマかもしれません。最近よく「6次の隔たり」という仮説が引用されますが、企業間でこの「隔たり」が少ない場合、すなわち人々の交流が盛んな場合ほどイノベーションを起こす確率が高いことが確認されたとのこと:
■ Fewer Degrees Of Separation Make Companies More Innovative, Creative (ScienceDaily)
ワシントン大学とニューヨーク大学の研究者による調査。6年間かけて11の業界から1,106の企業を調査し、特許を取得したイノベーションの数と、企業間で結ばれた戦略的提携関係のネットワーク構造との関連性を調べたそうです。その結果、「隔たり」が少なくなる=クラスター構造が形成されるほど、企業はイノベーティブになるという結論を下しています。ちなみに詳細は Management Science の2007年7月号掲載論文"Interfirm Collaboration Networks: The Impact ofLarge-Scale Network Structure on Firm Innovation"で確認できるとのこと。
研究者たちはこの理由として、「クラスター構造により情報が速く・正確に伝わるようになり、情報交換が有意義なものになる」点を挙げています。「隔たり」が少ないということは、情報が通る中継地点が減る=情報の経路が短くなるということですから、当然と言えば当然の話ですよね。さらに信頼できる人物から情報を得られるため、得た情報の真偽/価値の判断にかける時間が減る、といった質的な面でのプラスも考えられるかもしれません。また、ハーバード・ビジネス・レビューの2007年9月号に掲載されている記事「ジョン・ハリソンを探せ」でもこんな指摘がされています:
イノセンティブのジル・パネッタとピーター・ローゼの協力を仰ぎ、調査を進めた結果、我々は次の3つの結論にたどり着いた。
画期的なソリューションを生み出すには、できるだけ多くの分野の人たちに、問題を知ってもらう必要がある。
あっと驚くようなイノベーションは、専門領域が交差するところから出現することが多い。くわえて、問題解決に取り組む人たちが多様であればあるほど、確率は高くなる。
クラスター化されて「隔たり」が少なくなれば、ある問題に関わる人々が増える(ある問題を抱える人と、他の人々との距離が近づく)ため、イノベーションが生まれやすくなるのかもしれません。いずれにせよ、クラスター化によって改善された情報流通経路がイノベーションのカギとなる、というわけですね。
この研究、企業間の提携関係に焦点が置かれていますが、1つの社内での話にも当てはまるかもしれませんね(そもそも社内ネットワークに「隔たり」が多かったら、他社との交流もままならないわけですし)。ということで社内SNS的なアプリケーションの有効性を示す資料の1つになるかも。また研究をそのまま応用すれば、エクストラネットならぬ「エクストラSNS」的な企業間交流促進ツールが必要、ということになるのかもしれません。
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