消費者とのコミュニケーションは、できるだけ分かりやすい、伝わりやすいものでなければならない ― というわけでもないようです。時にはわざと混乱させる、というのもテクニックとして有効なのだとか:
■ Confuse Your Customer, Then Explain It Simply: They Buy It (ScienceDaily)
「顧客を混乱させよ、次にシンプルな説明をせよ、さすれば彼らは購入するであろう」という感じのタイトルの記事。Journal of Consumer Research の2007年10月号に掲載される、"The Role of the Need for Cognitive Closure in the Effectiveness of the Disrupt-the-Reframe Influence Technique."という論文の解説です。
タイトル=内容なんですが、一応まとめておくと:
- 実験のサンプル(お金を払う対象物)として使用されたのは、キャンディーバー、学生団体への入会料、学費の3つ。
- 「普通あり得ない金額を提示する」(例: 100セントのキャンディーバー、300セントの入会料、7500セントの学費値上げ)などの方法で、消費者を混乱に陥れた。
- 混乱に陥っただけでは、サンプルに対する消費者の関心は高まらなかった。しかし「混乱を解決してくれるような(分かりやすい)情報」に対する要求は高まった。
- さらに要求通り「分かりやすい情報」が与えられると、それを覆すような情報に関心を向けなくなる傾向が現れた。
こんな感じのようです。つまり人間は精神的混乱に陥ると、安定を取り戻すため追加情報を渇望するようになり、いったん安定すると再び混乱に陥ることを避けようとする ― というわけですね。よく人間は問題に直面したときに、最初に思いついた解決策に固執しがちである(また悩みに没頭するのがイヤなので)ということが言われますが、これも同じような心理状態なのかもしれません。
この「混乱」を引き起こす道具として、業界用語や専門用語を多用する、商品構成を分かりにくくするなどのテクニック(?)も有効だそうです。あー、そういえば「WEB2.0」もよく分からない業界用語でしたね……。
コンサル: 「いま、時代はWEB2.0ですよ!」
社長: 「それ、よく聞くけど何なの?」
コンサル: 「社長がブログを書くことです。で、お値段ですが……」
こんな感じ、なほど簡単ではないですが、単純化すればこういうことかも。実際の購入に至らないまでも、「混乱テクニック」によってセールスマンの説明を真に受けてしまう、ということはよく起きているのかもしれませんね。使いこなす自信のある方は、悪用しないでご活用下さいませ。
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