今朝の日経MJに載っていたニュース。最近は『オタリーマン』のヒットで有名な中経出版が、新刊購入者に電子版閲覧権を与えるサービスを開始した、とのこと:
購入した新刊本と同じ内容を、ネット上で閲覧できるというサービス。MJの記事では「電子書籍」という表現がされていましたが、ダウンロードやプリントアウトは不可能なので、ちょっとニュアンスが異なるかもしれませんね(中経出版では「ネット書籍」という表現をされています。この方が近いかも)。またCD付きの書籍はその音声を、DVD付きの書籍はその映像もすべてパソコンで視聴できるとのこと。要はネットに接続できる場所なら、紙の本を持ち歩かなくても大丈夫、ということですね。
MJの記事によれば、このサービスは古書市場の拡大に対抗するためのもの、とのこと。ネット書籍サービスの利用には会員登録しなければならず、1冊ごとに異なるシリアルナンバー・パスワードが必要になります。従って新刊として購入した時点で、購入者が会員登録してしまえば、同じ本が古書として出回ってもネット書籍サービスは利用できない――従って新刊購入のインセンティブとなる、というのが狙い。
同様のサービスは三省堂が「大辞林」などの辞書で採用しており、安価な古書への対抗策として取り入れる動きが広まりそうだ。
とMJでは解説されています。
しかし……例えば専門的な参考書など、外出中に読む必要がない(机に向かっているときにしか読まない)本であれば、「とりあえず新刊買ってアクセス権手に入れて、速攻で古本屋に売る->安くコンテンツが手に入ってラッキー」とか考える人が出てこないのでしょうか?それに今後は、ネット接続できる携帯端末と無線LAN環境が普及して、「ネットに接続していないと読めない」というのはネックではなくなるだろうし。またそもそも古本屋に売る時に、IDとパスワードを渡してしまうこともできるでしょう。発売される本の内容によっては、逆に古書の流通が増えるような気がします(ちなみにスタート時点で同サービスが利用できる書籍は、『 理系のビジネス英語―毎日の仕事に欠かせない英語フレーズ125』『実践 事業計画書の作成手順』などの4作品とのこと)。
ただ個人的には、以前から書いているような「本のロケーションフリー」的な状況が実現されるサービスというのは歓迎したいと思います。将来的には、より抜け道や不正利用を防いだ形で同様のサービスが展開できるでしょう(例えば物理的なカード/ICタグとリーダーを使って、本当に「紙の書籍」を所有している人しかネット版にアクセスできないようにするとか。コストがかかるけど)。いずれにせよ、将来的にはこうしたサービスが一般的になっていく(なっていく方向に行かざるを得ない)のでしょうね。
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