またまた心理ネタですが。感情の中で、人間が最も早く察知するのは「恐怖」なのだそうです:
■ Humans Perceive Others' Fear Faster Than Other Emotions (ScienceDaily)
Vanderbilt University の研究者たちが行った実験について。まずはどのような実験を行ったかというと、
- 人間は他人の顔の表情を40ミリ秒で読み取ってしまい、このままでは観測不可能なため、認識を遅らせるような仕掛けを用意。具体的には、目の右と左で違う映像が映し出される装置を開発し、一方の目には顔の表情を写した写真を、もう一方の目には様々な写真を瞬間的に次々と投影した。
- 被験者には上記の装置にかけられた上で、映し出された顔の表情を読み取ることを依頼。
この結果、無表情や幸せそうな顔よりも、恐怖の表情の方が読み取るスピードが速い、という結果が出たそうです。ちなみに読み取るのが一番遅かったのは、幸せの表情だったとのこと。確かに他人の幸せを知ったって何の得にもならない……などと言うと酷い人間になってしまうので止めておきますが(冗談ですよ)、恐怖=危険を素早く察知できるというのは理に適っていますね。
では人間は何をもって「恐怖」と判断しているのか、という点ですが、記事では
"Fearful eyes are a particular shape, where you get more of the whites of the eye showing," he said."That may be the sort of simple feature that the amygdala can pick up on, because it's only getting a fairly crude representation. That fearful eye may be something that's relatively hardwired in there."
「『恐怖の目』というのは、白目の部分が大きいという特別な形をしている」と彼(※研究者の一人である David Zald 準教授)は述べた。「これは扁桃体が理解できる、単純な特徴の一種かもしれない。扁桃体は生の情報をキャッチしているに過ぎない。恐怖を宿した目を察知する能力は、扁桃体に組み込まれているのだろう。」
と解説されています。ちなみに扁桃体とは脳の一部で、感情のコントロールに関係していると言われる部分。目から入った情報は、脳の大脳皮質に行く前に、この扁桃体を通るのだそうです。確かに、目だけを見せられても瞬間的に恐怖が伝わる、ということがありますよね:
うーん、これだけでも結構トラウマかも。ごめんなさい。一方ニコニコ顔はこんな感じ。目は細くなっています:
何か危険な障害が起きたときには、文字による警告ではなく「表情を表示する」というのが有効なのかもしれません。例えば最近「緊急地震警報」というシステムが話題になっていますが、「地震の直前に知らされても何の役にも立たない」という意見もあります。音や声、光による警報に加えて、「恐怖の表情」も表示する(いま作業中のPCとか、見ているTV画面とか)、なんて仕組みがあったらちょっとでも早く危険を察知できる……のかも。
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