小ネタですが。人は真実よりウワサで意思決定する、とのこと:
■ 意思決定には「真実」より「うわさ」が強く影響=研究 (Reuters)
日本語訳は端折られている部分があります。原文はこちら:
■ Gossip more powerful than truth, researchers say (Reuters)
原文も総合してまとめると、以下のような実験が行われたようです:
- 独マックスプランク研究所(the Max Planck Institute)の進化生物学者ラルフ・ゾンマーフェルト(Ralf Sommerfeld)氏らの研究チームが行った実験。
- 実験内容は、被験者である学生たちに事前にお金を渡し、それを他の学生にいくらか渡してもらう――というゲームを何回か続けるというもの。
- 学生にはお金を渡すと同時に、1回ごとにほかのメンバーの行動をメモすることを依頼。それを全員が見られるようにした。
- その結果、学生は「意地汚い人」や「守銭奴」と書かれた人に少ない金額を渡す傾向がある一方、「寛大な人」や「社交的な人」と表現された人には多くを渡す傾向があった
- さらに実験は続けられ、今度は他の学生が実際にいくら渡していたのかが公開された。しかしその事実がメモと矛盾していたとしても、メモの方が「いくらその人物に渡すか」という決定を下す際に重視された。
結論。人は真実が目の前にある場合でも、「ウワサ=他人の決定」の方を意思決定に用いてしまう。
心理学の本などを読むと、どうも人間っていうのは「自分で考えて意思決定を行う」というのが嫌いなようです。かったるいから。で、「これまでに世間一般で行われた意思決定(=常識)」や「他人の下した評価(=ウワサ)」を自分の頭で考えることの代替にしてしまうわけですね。今回の実験では、すぐ目の前に真実(学生本人や、過去の行動データ)があるにもかかわらず、それを無視してしまうほど「他人の下した評価」の方が強力であるという結果が出たのが面白い点でしょうか。というより、「思った以上に人間は自分で考えようとしない」と解釈すべきかも。
いま谷川浩司さんの『構想力』を読んでいるのですが、その中で谷川さんも
「常識はまず疑ったうえで、必ず自分自身で検証することが大切なのだ。その結果、正しいと思えば取り入れればいいし、間違っていると感じたら捨てればいい。自分で検証しなくては、常識を信じるにせよ否定するにせよ、どちらもイメージの可能性を狭める結果になってしまうと私は思うのだ。」
「情報が構想のために必要不可欠なのはたしかである。ただ、古い情報は自由なイメージの発露を妨げ、それが構想の幅と深さを狭めることにつながることがある。そうならないためには、いらない情報を捨てなければならない。」
と仰っています。まさかビジネスの場面で、ウワサに基づいて意思決定する人はいないと思いますが、実は知らず知らずのうちに「常識」や「(他人の意見という意味での)情報」を鵜呑みにして行動しているのかもしれません。
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