WEB2.0 の時代になり、ネットを通じて「みんなの力を合わせて何かを達成する」ということが普通に行われるようになりましたが、いよいよ犯罪捜査にもその流れが。これって……アリなのでしょうか?:
■ Help Find Perps With PostACrime (CenterNetworks)
紹介されているのは PostACrime.com というサイト。犯罪が撮られているビデオや画像をアップしてもらい、解決に役立つコメントを集めようというもの。中には懸賞金が懸けられているものもあるそうです。
トップページにはこの通り、おなじみ Google Maps を利用した地図が掲載されていて、投稿のあった場所=犯罪発生地がピンで表示されています:
ピンをクリックすると、サマリー情報がバルーンで表示され、さらにクリックすると詳細情報が表示されるのもおなじみの通り(カットしてしてしまいましたが、実際にはここに拡大された画像も掲載されています):
各投稿にはこの通り、「犯罪発生地の住所」「発生日」「事件の内容」「事件の種類(この場合は銀行強盗)」「懸賞金の有無」などの項目があります。そしてアカウントを持っていれば、一番下の"Submit a Tip"というボタンから情報を投稿できるようになっています。"Remember this Crime"や"Share this"などといったボタンもありますね。
コンセプトは他の様々なCGM的サービスと一緒なので、理解は難しくないのですが、本当にいいのかなぁ。例えば悪意はなかったとしても、間違った画像が掲載されてしまい、無実の人に犯罪者というレッテルが貼られてしまったり。追求がこのサイトの中にとどまらず、本人の職場や家庭へ直接「攻撃」が行われたり。犯人が逮捕されて服役した後も投稿が残ってしまい、社会的制裁がずっと続いたり……。その一方で未解決の事件を閲覧することにより、「完全犯罪はこうすればいい」という知識を得ることが可能になってしまうかもしれません。
と、ネガティブな意見ばかり書いてしまいましたが、犯罪の被害者にとっては有益なサイトとなるかもしれません。日本でもよく、犯罪被害者の家族が独自の懸賞金を懸けて、警察とは別に情報提供を呼びかけることがありますよね。これならより多くの人々に到達できますし、ビラでは不可能な「動画」というコンテンツも使えます。少なくとも、この存在により不利益を被るということはないでしょう。
そういえば最近、自分の車に当て逃げされた男性が、独自の映像を YouTube にアップするということがありました(参考記事)。これも様々な波紋を呼びましたが、今回の PostACrime.com は、それをシステム化して行うものですよね。日本で同様のサイトが登場し、人気を集めることになってもおかしくないのかも。逆にいわゆる「裏サイト」など、犯罪者側がネットを活用するという現象も当たり前になっていますし……これから「犯罪と WEB2.0」という分野に、さらに注目が集まっていくのかもしれません。
< 2007年10月9日 追記 >
タイムリーに、ITmedia さんでこんな記事が出ていました:
■ インターポール、ネットで性犯罪者の情報提供を呼び掛け (ITmedia News)
国際刑事警察機構(Interpol)は10月8日、児童に対して連続的に性的虐待を行っているとして指名手配されている人物の画像をインターネットに掲 載し、情報提供を呼び掛けた結果、この男を特定できそうな見通しとなったことを明らかにした。こうした情報提供の呼び掛けは初めての試みだったが、結果的 には、世界中から何百件もの情報が寄せられたという。
とのこと。事件の性質やサイトの注目度にもよるのでしょうが、ネットの力は侮れませんね。
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