犯罪にネットが関与することが普通になった現在、日本でもこんな措置が取られる日が来るのかもしれません。米ニュージャージー州で、性犯罪者がネットを使用することを制限する法律が施行されたそうです:
■ Sex Offenders Are Barred From Internet by New Jersey (New York Times)
ご存じの方も多いと思いますが、米国は州ごとに法律の内容が異なることが多く(例えば自動車免許が取得できる年齢もまちまち)、この措置もニュージャージー以外で行われているのはフロリダ、ネバダの2州だけとのこと。
Under the new law, convicted sex offenders will have to let the State Parole Board know about their access to computers; submit to periodic, unannounced examinations of their computer equipment; and install equipment on their computer so its use can be monitored.
この新しい法律では、有罪判決を受けた性犯罪者は州の更生保護委員会に対し、コンピュータへのアクセス状況を知らせなければならない。使用しているコンピュータに対する抜き打ち検査も、定期的に行われる。また特別な装置がインストールされ、使用状況がモニターされる。
とのこと。また仕事や仕事探しのためにネットを使うことは許されるそうですから、完全に禁じられてしまうのではなさそうです。しかし Facebook や MySpace などといったSNSへのアクセスは禁じられるとのことで、この法律によってどんな行動が抑制されるかは明白ですね。
この発想、良いか悪いかは別にして、日本でも支持する人は多いのではないでしょうか。また性犯罪に限らず、様々な犯罪でネットが使われる時代ですから、あらゆる凶悪犯罪を犯した人物は以後ネットへのアクセスを制限する――という動きになっていくかもしれません。違法コンテンツをダウンロードした側も罰せられるようにしたり、未成年者がケータイサイトに自由にアクセスすることを制限しようという動きがあるぐらいなわけですから、「犯罪者をネットから追い出せ!」という声が上がってもおかしくないでしょう。
個人的には「感情的には賛成、理性的には反対」といったところでしょうか。娘を持つ親の気持ちとしては、少しでもネット使用のリスクが上がることには反対です。しかし現代においてネットの自由な使用が禁じられるということは、社会とつながる道を半分断たれたも同然ではないでしょうか。そのことが逆に社会復帰の可能性を閉ざし、再び犯罪へと人々を追いやる――そんな危険性もあるように思います。
いずれにしても、言葉は悪いですがせっかく貴重な「実験」が行われているわけですから、この動きには注目する必要があるでしょう。何年後かに犯罪の発生率が上がっているか下がっているか、また副作用が起きていないかなど十分な分析が行われることを期待します。
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