コカコーラがバーチャル世界に進出、コカコーラ・ボトル型の「島」を開設――しかしセカンドライフ(Second Life)でではなく、「There」という仮想世界での話だそうです:
■ Thereにコカコーラのエリア「CC Metro Island」がオープン (The Second Times)
より詳しいレポートが New York Times に掲載されています:
■ Coke Promotes Itself in a New Virtual World (New York Times)
これがセカンドライフ上での話なら「はいはい、最近よくあるパターンね」で終わるのですが。コカコーラが進出したのが「There」という仮想世界だとなると、「それ何?」という話になります。実は(というか僕が知らなかっただけかもしれませんが)この「There」、けっこう古くから続いているサービスで、こんな紹介記事がありました:
■ 謎のベンチャー米Thereが3D仮想世界を発表~仮想空間の中に“新しい社会”を構築 (Internet Watch)
この記事の日付、2003年1月9日となっていますから、ちょうど5年が経とうとしているわけですね。しかし New York Times の記事では
There.com is not as famous as the virtual world Second Life, where companies like Adidas and Dell are advertising and selling products. About 573,000 people visited Second Life in October, while the traffic at there.com was too sparse to be picked up by the Web measurement company Nielsen Online.
There.com は(Adidas や Dell などが進出している) Second Life ほど有名ではない。今年10月にはおよそ57万3千人が Second Life を訪問したが、There.com のトラフィックは非常に小さいため、Nielsen Online などの調査会社からは調査対象にされていない。
と解説されていて、ごく小さなサービスであることが分かります。ただし仮想世界内の監視に力を入れていて、違法なコンテンツや未成年者に見せられないコンテンツを排除しているとのこと。この辺がコカコーラが進出を決意した一因、であるのかもしれません。
で、僕も実際にアクセスしてみました。ご多分にもれず(?)、セカンドライフではアカウントを取ったままで放置してあるので、仮想世界にアクセスするのは久しぶり。操作できるかな?と心配だったのですが、基本的にはカーソル操作と画面上のメニューのクリックだけで済むので、セカンドライフよりも操作しやすい印象です。
上がコカコーラの島「CC Island」を訪れたところ。水がボトルの形になる噴水があったり、コカコーラ・ロゴの形をした雲が空に浮かんでいるなど、あちこちにコカコーラにちなんだ品々が見られます。もちろん上のように、コカコーラそのものがハッキリと分かるものもあちこちに。ただ個人的には、取り立てて「これはすごい!」と感じるものはありませんでした。セカンドライフも含め、他の「仮想世界に進出した企業」とあまり差はないかな、という印象です。
ただし There.com 自体は、先ほどの操作性も含め、セカンドライフより親切にできているという印象でした。ちょっと「おかしな」行動(ずーっと立ち止まって周囲を見渡すだけ、進めない方向に無理やり進もうとする、後ろ向きに歩くなど)を取ると、「大丈夫ですか?」というメッセージが飛んできます(おそらく機械的に処理しているのでしょうが)。New York Times の記事にあったように、積極的にユーザーの行動に介入しようという姿勢が見られ、これはある程度自由放任主義なセカンドライフとは異なるところ。
また訪問者が少ないはずなのに、CC Island にはかなり多くのアバターの姿が見られました。これは「開設されて間もないから」「コカコーラの宣伝がうまく行っているから」などの理由があるのでしょうが、セカンドライフの場合には「メディアで大々的に宣伝されている『企業がセカンドライフ内に設置した施設』を訪れたら、そこにいる人影は全てハリボテ(にぎわっているように見せるための人型画像)だった」などということが何度かありました。この点、コカコーラもしくは There.com の戦略に注目すべきところがあるかもしれません。
いずれにしても、「仮想世界=セカンドライフ」「仮想世界でのプロモーション=セカンドライフに(とりあえず)出店すればいい」みたいな思考回路は、既に海外では崩れているのでしょうね。セカンドライフへの注目度が下がっている今だからこそ、海外の事例に改めて注意してみる必要があるのかも。
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