また1つ痛ましい出来事がありました。ご存じの通り、パキスタンでブット元首相が暗殺されるという事件が起きています:
■ ブット元首相、暗殺 集会で自爆テロ 頭部銃撃の情報も (asahi.com)
この事件に対し、ネットはどのように反応したのか。ZDNet に興味深い記事が掲載されています:
■ Benazir Bhutto assassinated: Twitter’s utility (ZDNet.com)
Dennis Howlett さんのブログ"Irregular Enterprise"より。ブット元首相暗殺事件の情報が、"Twittersphere"を瞬く間に駆けめぐったことを解説しています。
"Twittersphere"は明らかに「ブロゴスフィア」をもじった言葉でしょうから、日本語にすれば「Twitter 界」といったところでしょうか。訳はどうであれ、Twitter によって形成された情報ネットワーク(その中には BreakingNewsOn のようなニュース専門アカウント?も含まれています)により、Dennis さんはいち早くこのニュースを知ったわけですね。この体験から、彼はこんなコメントを書いています:
When Hurricane Katrina struck, great weight was given to the speed with which the blogs swung into action. Twitter is proving far quicker at relaying reaction. This has huge implications for business.
ハリケーン・カトリーナの際、ブログが行動を起こしたスピードの早さが重要視された。Twitter 上で行動がつながっていく早さは、それを上回っている。このことはビジネスにおいて重要な意味を持つだろう。
事件や災害が起きた際、速報性という点でブログによる情報伝達が注目されるということがこれまで何度かあったわけですが、Twitter はそれを上回る速報性を持つのではないか、と。確かに僕も、シチュエーションはまったく異なりますが、MyMiniCity の例で同じ体験をしています。これが「話題のゲームに乗り遅れた!」程度なら笑い話で済みますが、株価に影響するような大事件であれば、企業や投資家は大損をしかねないわけです。その意味で、「Twitter (の情報ネットワーク)がビジネスにおいて重要な意味を持つ」という意見はまったく正しいと思います。
いま盛んに「ブログはメディアとして成立するか?」「ブログで語られていることをマーケティングに活かせないか?」などという議論が行われていますが、そんな視点は既に時代遅れになっているのかもしれません。ミニブログは既存のメディアでは埋められない「速報性」という点を補うメディアとして成立しつつあり、さらにブログ以上に本音が語られる場となりつつある、という見方もできるでしょう。であれば、企業はブログに対するのと同レベルの注意を、ミニブログに対しても向けていかなければならないと思います。
ということで2008年には、ブログ界での出来事をまとめる「まとめブログ」的な存在や、kizasi.jp のような「ブログ分析ツール」的な存在が、ミニブログの世界でも流行するかもしれません。また BreakingNewsOn のようにニュースを専門に扱うアカウントや、ミニブログ界での存在感向上を狙った企業のアカウントなども増えていくのではないでしょうか。
< 追記 >
行動の早さ、という点ではこちらも負けていないようです(残念ながら):
■ Bhutto Assassination: JavaScripted (Trend Micro)
ブット元首相暗殺事件をネタにしたウィルスや、不正ウェブサイトが登場していることについて。"benazir"(ブット元首相のファーストネーム)で検索すると、既にいくつか不正サイトが結果に表示されるそうです。僕も以前、「スパムトラックバックで芸能ネタをいちはやく知ることがある」と書いたことがあるのですが、こういった連中の動きの早さには本当に感心します(もちろん悪い意味で)。そんな熱意をまっとうな方向に向ければ、もっと素晴らしいものを手にできるだろうに。
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