New York Times に掲載されていた、"Consumer Generated Ad"(消費者作成広告)に関する記事を面白く読みました:
■ The High Price of Creating Free Ads (New York Times)
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最近、消費者が企業の製品/サービスについてCMを勝手に作ってしまったり、また企業が消費者にCMを作ってもらうキャンペーンを行ったりということがありますが、企業が考えるほどおいしい話ではないよという内容。
- 当然ながら素人なので、ハイクオリティなものはなかなか出てこない。
- 企業が自分たちで作るより、コストも時間もかかる場合が。
- 作品を作ってもらうには、キャンペーンなどで告知する必要があるが、それにもコストがかかる。キャンペーンの企画、作品の選考などの作業も当然必要。
- 逆にイメージダウンになるリスクが(素人にCMを作らせるような怠け者企業 etc.)。
- また投稿者の狙いは、企業の狙いとかけ離れている場合も(自分を売り込みたい、自分の作ったキャラを有名にしたい etc.)。
ポイントはこんな感じ。ちなみに記事で「あーあ」な例として紹介されているのが、ハインツ(ケチャップ)のキャンペーンに投稿されたこんな作品:
確かにこんなCMを見て、ハインツを買う気にはならないですよね。最悪の場合、「品の無いCMを見せる俗悪な企業」というイメージを抱かれてしまうかもしれません。
「クオリティの高いものしか入選しないから大丈夫」と思うのは早計。CGM時代ですから、落選した作品もこのように YouTube にアップされてしまいます。ちなみにハインツのキャンペーンの場合、これまでに落選したのは370作品。そのうち約320作品が YouTube 上に存在しているそうです。落選の理由は、「規定の長さ(30秒)より長い」「著作権のある曲を勝手に使っている」といった(比較的)仕方の無いものだけでなく、「ハインツ以外のブランドが写っている」「お母さんには見せられない内容」などバカバカしいものも多いとのこと。優秀作を5つを選ぶ予定だそうですが、5本も見つかるのか微妙な状況……なのだとか。
もちろん消費者に広告を作ってもらうのは、「安くCMを手に入れるため」だけではありません。キャンペーン全体を通じてブランドを認知させたり、「CGM時代を理解している先進的企業」というイメージを広める狙いもあるでしょう。しかし「消費者がCMを作る!?」というインパクトもそろそろ失われる頃ですし、目新しさが無くなれば参加者も減る->ますます投稿作品のクオリティが落ちて費用対効果が下がる+ブランドイメージを損なうリスクが上がる、という状況になるかもしれません。
ただメントスの例のように、Consumer Generated な広告が話題を呼ぶケースがあることも事実。ブログなどと同じように、企業が何らかの形でコントロールしようとした瞬間に、諸刃の刃になってしまうだけなのかもしれませんね。今後は、
- 若者向けの商品や、駄菓子/玩具/ゲームなど、クオリティの低い作品でもブランドイメージを損なう心配のないモノ/サービスに限定する
- 「キャンペーン」という形で賞金や名誉を報酬とせず、自然発生的な作品(従ってモノ/サービスに対する純粋な愛情/興味から生まれた作品)を拾い上げるような形にする
- 音楽やロゴなど、法的に問題のない+低俗なものではない「素材」を大量に用意するなど、一定のクオリティが保たれるような工夫をする
などといった経験則も生まれてくるのでしょう。
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