「ロジャーズの採用者分布曲線」と書くと、何のこと?と思われるかもしれませんが、イノベーションが普及する過程でユーザーを5段階(イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガード)に分けるアレです。IT技術において、自分がどのグループに属すると思うか?と聞かれたら、このブログを見ていただいている方々の大抵は「イノベーター」か「アーリーアダプター」と答えるのではないでしょうか。僕はイノベーターと呼べるほどギークではないので、まぁアーリーアダプターぐらいかな~と思っていたのですが、次のエントリを読んで考えを改めねばと思いました:
■ Early Adopter vs. Efficient Person (graphpaper.com)
ハイテク製品やWEBサイトをいろいろ試しているけど、ちょっと触って遊ぶだけじゃアーリー「アダプター」とは言えないよね、という内容。アダプターを名乗るからには adopt (採用する、導入する、身に付ける)しなければ、という提言にハッとさせられました。以前「『試す』と『使う』は違う」というエントリを書きましたが、様々なモノ/サービスを「じっくり使う」という状態にして初めて「アーリーアダプター」を名乗れるのかもしれませんね(別にわざわざ名乗る必要もないのですが)。
それじゃ真のアーリーアダプターになるにはどうしたらいいの?という点ですが、自戒の意味も込めて、上記のエントリを元に5つにまとめてみました:
(1) 一定期間使い続ける
サービスに登録して2~3分使ってハイ終了……では明らかにダメですよね。長期間使い続けてこそ見えてくる価値・欠点があるはずです。ただし上記の記事で指摘されている通り、「1年間使い続けて、出た結論は『この製品は使えない』」では時間の無駄ですから、ある程度の期間で区切る必要があると思います。個人的には、1週間使えば曜日による変化などが見れて十分なのではないでしょうか。
(2) 何かと置き換える
よほどの画期的製品でない限り、新しいモノ/サービスは何かを置き換える存在のはずです。例えばPDAは、メモ帳やスケジュール帳を置き換えるものでしょう。仮に最新のPDAを手にして長期間使ったからといって、「やっぱり急いでいる時はこれだよね」と言って紙+エンピツを併用していては、PDAの本質は見えてこないですよね。従って、PDAを使っている間は紙+エンピツは使わない、といった態度が必要だと思います。
(3) 行動パターンを変える
新しいモノ/サービスはこれまでの行動パターンを変化させる可能性があります。また変化させないと、その本当の価値が見えてこない場合があるでしょう。例えばスケジュール管理ソフトであれば、作成したスケジュールを紙に出力して共有するのではなく、データを共有して多人数で編集するという行為を導入しなければ価値は半減します。新しいモノ/サービスと現状が一致しない場合には、モノ/サービスの方を現状に合わせるのではなく、現状の方を変えるという態度が必要でしょう。
(4) 新しい価値に気づく
(2) で新しいモノ/サービスは何かを置き換えると書きましたが、単に置き換えるだけではないはずです。作業を効率化するだけでなく、プラスアルファの価値を提供する場合が多いでしょう。これまでもできていたタスクが簡単にできるようになった、でよしとするのではなく、以前は無かった価値が手に入っていないか?を注意して探してみることが必要だと思います。
(5) 結果を比較する
新しいモノ/サービスが以前のモノ/サービスより優れている、とは限りません。一定期間使ってみたら、果たして以前よりも良い状態になったか?を冷静に判断する必要があるでしょう(新しいものが使えて楽しかった、ではただのミーハーです)。その際、(4)で述べたような「新しい価値」があることも忘れてはなりません。つまり「以前のモノと新しいモノ、作業時間はほとんど変わらないが、以前のモノには『安い』という価値があり、新しいモノは『カッコイイ』という価値がある。個人的に『安い』よりも『カッコイイ』という価値の方が重要なので、新しいモノの方が優れている」のような判断になると思います。
さっと書いたので、これ以外にももっとポイントがあると思います。いずれにしても、「なんちゃってアーリーアダプター」にならないように注意しなければなりませんね。
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