"ChaCha"という検索エンジンをご存知でしょうか。「実在の人間がサポートしてくれる検索エンジン」といったイメージで、検索キーワードは自然文でOK。ガイドとチャットしながら検索結果を手にすることができる、というサービスです(もっと知りたいという方は、Buzzy Dizzy Biz のエントリが詳しいです)。その ChaCha が、今年のサンダンス映画祭に合わせて「人力モバイル検索」をスタートさせたとのこと:
■ A New Twist on Mobile Search: Human Guides (New York Times)
質問をSMSで投げると、同じくSMSで答えが返ってくるサービスだそうです(「人力ニワンゴ」とでも呼びましょうか)。メッセージを投げてから、およそ3分で答えが返ってくるとのこと(ただし New York Times の記事では、答えが返ってくるまでに10分を要したケースがあったことが紹介されています)。もちろん、「中の人」は機械ではなく文字通り人間なので、質問は自然文でOK。現在は無料ですが、将来的には月5~10ドルの料金を取ることを考えているとのこと。
で、この新サービスのプロモーションのために、サンダンス映画祭と契約を結んだわけですね。具体的には、どの出展作品が人気か、どのチケットがまだ売れ残っているかなど、映画祭に関する質問を一手に引き受けることになるそうです。
正直な話、PCから操作するのであれば、普通の人々にとっては検索エンジンが人力である必要はないでしょう。ネットに不慣れな人なら「自然文で質問できる」という点に魅力を感じるかもしれませんが、よほど複雑な質問でなければ、たいていの疑問は Google や Yahoo! で事足ります。その点は ChaCha も理解しているようで、
Not surprisingly, it never took off. “At the desktop, I am positively sure we didn’t differentiate significantly from Google or Yahoo and so we haven’t got much usage,” Scott Jones, the founder and chief executive of ChaCha told me last week.
驚くに値しないが、それ(※ChaCha のPC上でのサービス)は人気が出なかった。ChaCha の創業者であり、CEOであるスコット・ジョーンズは先週こう語った:「デスクトップ上では、Google や Yahoo との差別化ができず、多くの利用者を獲得することができなかった。」
と述べています。しかしモバイル端末上でなら……という発想が、今回の新サービスにつながっているわけですね。
確かに現時点では、モバイル向けサイトはPC向けサイトに比べて圧倒的に数が少ないですから、こうした人力検索にも価値があるでしょう。しかしモバイル端末でもPC向けサイトが普通に閲覧できるようになりつつありますから、仮に ChaCha モバイル(?)が成功しても一時的な存在になりそうです。
ただし、前述の通り「ネットやケータイに不慣れな人をターゲットとしたサービス」という位置付けであれば、存在価値は残るかもしれません。年配者向け、あるいは子供向けに「ガイドが優しくサポートしてくれる、普通の言葉でOKなモバイル検索」的なアピールをすれば、ある程度人気が出るのではないでしょうか。また守備範囲を広げるのではなく、「サンダンス映画祭に関することだけ」のように期間・対象限定サービスとして生き残る、という方法があるかもしれません。その場合、ChaCha が提供するのはシステム+コールセンター要員で、イベント主催者と契約してお金をもらう(サービスそのものは来場者に無料で提供する)というモデルを採用してもいいかも。
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