昨年に続いて2008年も「環境問題」がキーワードになりそうな予感ですが、面白い実験結果が New York Times に掲載されていました。電力消費量をモニターするツールがあるだけで、人々は自然と省エネを心がけるそうです:
■ Digital Tools Help Users Save Energy, Study Finds (New York Times)
実験を行ったのは、米エネルギー省の Pacific Northwest National Laboratory (PNNL)(ちなみに彼らの公式サイトでも、同じ実験が記事になっています)。シアトル西部にあるオリンピック半島で1年間かけて行われた実験で、112戸の家庭にデジタル・サーモスタット(温度自動調節器)を設置、さらに給湯器と衣類乾燥機をコンピュータ制御可能にしてネットにも接続した、とのこと。住人はウェブサイト上から理想の設定温度を確認できるとともに、それを上回る・下回ると電気料金にどのくらい影響がでるかを確認できるようにされたそうです。
その結果どうなったか――反応はすぐに現れ、住人が省エネ(というより節約、かもしれませんが)に努力するようになった、とのこと。1家庭あたり平均で月10%の電気料金節約になり、さらに地域全体では、ピーク時の電力負荷を約15%削減する効果が得られるとされています。ちょっと面白いのは、以下の一節:
After some testing with households, the scientists decided not to put a lot of numbers and constant pricing information in front of consumers. On the Web site, the consumers were presented with graphic icons to set and adjust.
いくつかの実験の結果、学者達はあまり多くの数字や、継続的な料金情報をユーザーの前に置かないようにすることを決めた。ウェブサイトには、「設定」「変更」というアイコンが表れるだけである。
あまり多くの情報を与えると逆に混乱してしまう、シンプルな情報でも十分に効果は得られる――ということかもしれません。
以前、『シロクマ日報』の方でこんなグッズを紹介したことがありました:
ここで書いたように、人々に単純なデータ(彼ら自身の行動の結果)を見せるだけで、行動を変えるモチベーションを与えることができるのかもしれません。詳しくは専門家の分析を待たなければいけませんが、アメリカでの実験結果を受けて「あなたの今月の電気料金がリアルタイムに確認できる!」みたいなウェブサービスが日本で始まっても面白いのになぁ、と思います。
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