"Daily Me"(デイリー・ミー、「わたし新聞」)とは、ニコラス・ネグロポンテが『ビーイング・デジタル』の中で予想した有名な概念です。技術が進むことによって、未来の新聞(メディア)は自分の趣味志向にあった記事だけをフィルタリングしてくれるようになる――まさしく「私のための新聞」になるという話ですが、そんな Daily Me 的サービスがまた一つ登場しました:
■ Tiinker is the Anti-Digg (Read/Write Web)
紹介されているのは tiinker というサービス。WEB2.0系サービスではお馴染み、一般的な単語をもじるという命名手法ですが、これは"think"を連想させる名前ですね。基本的にニュースを集めているポータルサイトなのですが、表示されたニュースに「好き」「嫌い」の評価をクリックするだけで、ユーザーの好みにあったニュースを機械的に判断・それだけが表示されるようになっていく……というもの。ニュースはカテゴリー(ビジネスや政治、テクノロジーなど)ごとに分類することもでき、気になった記事(へのリンク)を保存しておく「スクラップブック」などの機能もあります。
アクセスすると、画面に"try it now"と表示されていると思いますが、ここをクリックすればすぐにパーソナライゼーションをスタートしてくれます。この機能だけなら、クッキーを使用するのでログインは不要。全ての機能を利用したり、他のPCでも自分の設定で表示させたい時などにアカウントを取ればいいようになっています。
ということで、ここまでならよくある発想で、どこまで人気がでるかは「どこまで"Daily Me"のアルゴリズムが優れているか」によって決まるわけですが。ちょっと面白いのは、"Lucky dip"という機能が用意されている点。これはユーザーの視野を広くするため、わざと興味範囲の外にある記事を紹介してくれるというものです。
これが実際の Lucky dip で、画面右側に表示されます(これは僕の好みを反映した結果なので、これだけではどこまで「興味範囲外の記事が集められているか」は分かりませんが……)。ここで表示されているのは記事タイトルだけですが、クリックすると詳細情報がポップアップされ、さらに興味を持てば本文へとジャンプすることができます。ロジック上当然ですが、アクセスする度に違った記事が表示され、確かに視野を広めるのに役立ってくれそう。
Daily Me 的サービスについては、情報を効率的に収集することを可能にするものとして評価する声がある一方、ユーザーの視野を狭めたり違った意見に目を向けるのを阻害するなどの弊害があるのではないか、という批判の声もあります。まぁ人間が接するメディアの全てが「Daily Me 化」するのは当分先のことでしょうから、一部のツールのフィルタリング機能が高度化してもそれほど問題は起きないでしょう。しかしそういった批判の声に応えるかたちで、tiinker のように自分の好みに合わせてくれる一方、異なった分野・異なった視点のニュースも紹介してくれるというツールが増えていくのかもしれません。
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