はてブで当然のようにホテントリになっているこの記事を読んで、プログラムを書いていた頃を思い出しました:
■ すばらしいソフトを作るには、カリスマが講演 (@IT)
「良いソフトとは何か」「良い仕事とは何か」だけでなく、「良いプレゼンとは何か」をも教えてくれる良記事なのですが、とりあえず1つ挙げるとしたら次の部分:
別の例として、スポルスキー氏は自身が体験した、ある開発プロジェクトの例も挙げた。2週間という短納期で、価格も安く、要求仕様もすべて満たしたソフトウェアを顧客の前でプレゼンテーションしたところ、大変に不評だった。そこでいったんソフトウェアを持ち帰り、画面表示の色を変えるなど「ソフトウェア開発者にしてみれば、何だこれごときでと思うような、非常にささいな微調整を行った」ところ、顧客の反応は180度違ったものになったという。スポルスキー氏は「人々はとても表面的な判断をするものです」と、見た目の重要さを指摘する。
そうそう、こういうことってありますよね(笑)。IT関係だけじゃなくて、全ての分野で起きることかもしれませんが。顧客の反応なんて、そんなものです。しかし個人的には、この話は「顧客の立場に立って自分の成果物を見なければならない」というメッセージと捉えました。
社会人になって1年目。ERPシステムにアドオンするプログラムの開発を担当していたとき、こんなことがありました。何本か開発していた中で、一番力を注いでいたのが「顧客からの注文の進行状況(受注したばかり、処理中、請求書発行済み等)を、一気通貫で確認できる」という帳票プログラム。インタラクティブで、デザインにも工夫を凝らしました。しかし完成した姿をお客様に見せても、反応は今ひとつ。決して不満を言われたわけではないのですが「フーン、便利だね」ぐらいでした。
しかしその数日後。お客様から「こんなプログラムってできる?」と相談されて、ささっとデモを作ったところ(ごく簡単な内容だったので)、「これはすばらしい!これがあればすごく便利になるよ~」と感謝されてしまいました。個人的には、先の帳票プログラムでその反応を期待していたのに……。
しかし考えてみれば、帳票プログラムは僕の自己満足にすぎなかったわけですよね。別にそれが不要だったというわけではなく、使い手にしてみれば、「ここのデータを取ってくるのが難しかった」「この機能は芸術的なコードで実現されている」なんてことは関係ない。あくまでも、使ってナンボなわけです。実は以前、ピアノを習っていたことがあるのですが、「弾くのが難しい曲=聴いている人が感動する曲」ではありません。ものすごく難しいのに、聴いている限りだと地味で聴き映え(?)のしない曲。逆にサラッと弾けるのに、聴いているとダイナミックで楽しい曲など、そんな例がたくさんあります。プログラムの世界だけでなく、提供者/利用者の間にギャップが生じてしまうのは致し方のないことなのでしょう。
だから何かを作り上げるとき、作り手は使い手の目も同時にもたなければならない、もしくは評価のときには開発の苦労は一切忘れなければならないと思います。「あいつらこんな些細なことで満足してるぜ。こっちの方がスゴイのに」なんてことは決して言ってはいけない。当り前のことですが、@ITの記事を読んで、改めて自戒の意味で書いてみました。
コメント