これは日常生活でも役に立つ知識かも。何かをしていたことによって、続く行動に影響が現れることを「プライミング効果」というのですが(こちらの記事でも指摘されているように、「ピザって10回言って」というクイズもその一種ですね)、それが何かを評価する場合にも現れることが実験で証明されたそうです:
■ How Much You're Willing To Pay Depends On What You Were Just Doing (ScienceDaily)
Hong Kong University of Science and Technology の研究者らによる実験結果について。どんな内容だったかというと:
- 参加者を集め、いくつかのホテルの部屋について評価してもらった。
- その際、あるグループには「料金の高いものから上に並べる」ように、別のグループには「料金の低いものから上に並べるように」と指示した。
- 評価の終了後、被験者に「ホテルの部屋にいくら料金を払うか」という質問を行った。すると、「料金の高いものから並べる」グループでは、「低いものから並べる」グループに比べ、平均で19ドル高い料金を答える傾向にあった。
とのこと。結果として「ホテルの部屋を評価する」という部分は同じでも、何から始めるかによってイメージが変わってきてしまうわけですね。同様に「この中でどれを買いますか(買いませんか、ではなく)」と尋ねられた場合、人間は対象物の長所を探そうとし、あとで思い返した際に選んだものを高く評価する傾向にあるそうです。確かに「悪い点から考えると、それに引きずられて後々のイメージまで悪くなってしまう」ということは、経験的にも当てはまる部分があるのではないでしょうか。
例えば、何人かの候補者の中から1人を選ぶ場合。「良いと思う人から選んでいきましょう」ではなく「1人1人除外していきましょう」という風にしてしまうと、けっきょく最後に1人残るのは一緒でも、「選ばれた人物に対するイメージ」は悪くなるわけですね。別にどんな人とでも付き合えるという聖人君子ならいいのですが、その後に一緒に作業するとなった場合、「コイツで本当に良かったのか?」という思いがつきまとうでしょう。仮にその人物が窮地に陥った場合、人々が「ホレ見たことか」という態度を取ってしまう……などということも考えられます。従って特に人間がからむ場合には、まずは良いところを見る、長所を探すといった姿勢が望ましいのではないでしょうか。
まあ良いところから探すと、逆に「正のプライミング」というか、必要以上に好印象を抱いてしまうという可能性もあるのですが……しかしいずれにせよ過去の行動に起因する偏見を避けられないとすれば、良い印象を抱いて接していく方が精神衛生的にも良いことだと思います。ということで、何かを判断する場合には、まず長所から考えるのを心がけてみては。
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