キジサクと聞いて、「あらたにす」と同じ空気を感じたあなた、正解です:
■ 「キジサク」4月1日から 朝日、時事、日刊工提携の新検索サービス (asahi.com)
朝日新聞社、時事通信社、日刊工業新聞社の3社は4月1日、ビジネス向けネット検索サービス「キジサク」を始める。3社が6日、都内で記者会見して発表した。低料金で800万本以上の記事などが検索できる。
とのこと。まあ内容は素晴らしいですし、「キジサク」というネーミングにも突っ込まないようにしましょう。しかし、それ以外のツッコミどころが満載です。
国内のネットによる情報検索は現在、ヤフーやグーグルなどが主流だが、「キジサク」は、報道機関が提供する情報の確かさが強み。ネット検索では一定期間で消える情報もあるが、「キジサク」では消えることはない。
えーと、一定期間でリンク切れになってしまうような仕組みを導入しているのはどこのどいつだと。これはつまり、「パーマリンクを導入しないのは、再利用を難しくして自社サービスにお金を払ってもらうようにするのが目的です」という宣言なわけですね。またいつものように、「報道機関の情報=正しくて価値がある」と頭から押しつけるような姿勢を感じます。単に「コンテンツを提供します」と言えばいいところを、どうして報道 vs. ネットという図式にしてしまうのかが不思議です。
また、キーワード検索ばかりでなく、気になる業種を登録しておけば、業界の関連ニュースが毎日届く。契約した企業には、PRしたい自社情報を他社に向けて検索トップ画面に表示させる機能がある。
有料サービスな上に、強制的に広告も表示される仕組みですか……。強気です。また Google アラートのように、キーワードで絞り込んで通知してもらうことは可能なのでしょうか?RSS配信は?といった点も気になります。
まあビジネス向けですし、同様の専門情報DBは海外にいくつかありますから、そういった存在を目指しているのかなとも思います。しかし、迂闊に
「過剰な情報化社会の中で使い勝手が良く、かつ低料金のサービス。WEB2.0の特性を生かし、契約した企業が情報発信できるリッチなデータベースだ」
とか発言しちゃうあたりが大丈夫かなぁ、と感じた次第でした。※ただし「契約した企業が情報発信できる」というのが、上記の「契約した企業には、PRしたい自社情報を他社に向けて検索トップ画面に表示させる機能」を指しているのかどうかは分かりません。もしかしたら、検索キーワードや閲覧数を自動集計して「人気の○○」を表示したり、digg 的な投票/コメント機能があったり、参加企業限定ソーシャルブックマークサービスがあったりする……のかも。
ちなみにCNETでの紹介記事はこちら:
■ 朝日新聞らが有料データベースサービスを開始、月額6300円は「思い切った価格」 (CNET Japan)
インターネット上では無料で閲覧できる情報も数多いが、「(インターネット上の情報は)その情報が確かであるかどうかを自分で確認しないといけない。きちんとした情報源を持つものを、保証して提供するところにコンテンツの価値がある」(朝日新聞社)との考えだ。また、検索ごとに課金するのは「膨大な量の検索をされるとシステム負荷がかかるため」(朝日新聞社)と説明した。
だそうです。最近のメディア不信を思えば、「報道機関の情報なら皆ありがたがるだろ」という考えは危険だと思うのですが。ますます、大丈夫かなぁ。
< 追記>
キジサクは4月1日スタートとのことですが、トップページが完成しています。そこにはスーツ姿のキジが登場しているではありませんか……もしかしてこれが、ヌケサクじゃなくてキジサク!?
またロゴが鏡面反射のデザインになっているのも要チェック。この辺は WEB2.0 なんですね……。
個人的には、マスコミが第4の権力として振舞うならば過去の記事(地方版や1版とか5版とか10版とか)をすべて誰でもいつでも閲覧可能にして、批判に晒されていなくてはならないのではないかと思っています。
B-CASカードによるデジタル放送の録画制限機能を悪用して「コピー不可」の状態でめちゃくちゃな報道を行った場合も、その内容が記録に残らない恐れがあると言われます。新聞もテレビもどちらももっと一般の人から検証されるようになれば今より良いものを作れると思うのですが。
投稿情報: yohei | 2008/02/06 23:15
あの『上から目線』、
腹立たしいですねぇ~…。
あの体質はいつか変わって欲しいものです。
投稿情報: kumablo8810 | 2008/02/07 16:02
みなさま、コメントありがとうございます。
> yohei さん
そうなんですよね、中の人たちは否定すると思いますが、メディアには「オレたちの言うことは正しい」と信じ込んでしまっている感覚が窺えます。自己批判ができない以上、外部からチェックされやすいようにしておくことがせめてもの対策だと思うのですが……。あ、エンタメ業界と同様に「俺たちはコンテンツを売ってナンボの商売だ!」と考えているなら別ですが。
> kumablo8810 さん
うーん、彼らも自身も「傍観者」に過ぎないと気づいてないのかな、と思います。彼らが批判している Google や Yahoo! も、ある事象と読者・視聴者を結ぶという点で、彼らと同じ役割を果たしているはずなのですが……。体質が変わることがなければ、いくつかのメディア企業は確実に消えていくのでしょうね。
投稿情報: アキヒト | 2008/02/08 10:51