某所でまたまたリアル書店談義(+α)が盛り上がっているのを見て、こっそりエントリ。
始めに、僕もリアル書店は大好きです。いわゆる「本との偶然の出会い」が本屋の楽しさだ、という議論には100%賛成ですし、その他にもネットの書店にはない様々な良さがあるでしょう。また過去のエントリでも書いた通り、個人的に「小さな書店なのに、なぜかいつも買いたくなる本が置いてあるお店」というものがあって、自分と相性の良いリアル書店のありがたさは肌に染みています。
しかし逆に、リアル書店にはワナもあると思うのです。「リアル書店には読者の書評といった付加情報がないから、全ての本が平等に扱われている」と言いますが、本屋にも「平積みか否か」「POPがついているか否か」「特集コーナーに置かれているか否か」といった差別が厳然と存在していますし、何より「限りある書架スペースに何を置くか」という書店の判断が入っている時点で、全ての本が平等に扱われていることはないわけです。
また良くも悪くも、リアル書店では「情報操作」が行われます。売れている本の横に売れない本を置いて、手にとってもらえる率を高めようとしたり。POPを手書きにすることで、「店員がこんなに惚れ込むほど素晴らしい」感を出したり。この辺の話は、雑誌『編集会議』辺りを読めば一目瞭然でしょう。
(※念のため、それが悪いことだと言うつもりはありません。他分野の小売店同様、書店でも「売り上げを上げる」ために様々な努力が行われている、ということを指摘しているだけです。)
さらに、これは僕だけの話かもしれませんが、「活字の魔力」というものもあるように感じるのです。例えば、書店で限られた時間で立ち読みしてみて「これは良い、買おう」と買って帰った本を、自宅で読み返してみたら大して役に立たなかった――という経験は無いでしょうか。それは、平凡な内容(すみません)でもキチンと製本して書架に並べると、なんだか有難いもののように感じてしまうという心理が働いた結果なのでは、と思います。仮にそれが正しいとしたら、そんな心理に陥ってしまいがちな僕はリアル書店に行かず、ネットの書店で「メタ情報」だけを手がかりに本を探した方が良い、ということになります。
……というわけで、リアル書店では素敵な出会いがあるということは同意なのですが、その「素敵な出会い」は演出されたものかもしれない、という点だけは心に留めておく必要があると思います。クドいですがそれはリアル書店はダメだと言いたいのではなく、「リアル書店信仰」も節度を持って、という意見です。
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