先日 New York Times で「ブロガーは常にストレスにさらされていて、ブログが死因になりうる」という記事が掲載されたことをご存知の方も多いと思います(参考記事)。当然のように様々なブロガーから反応が起きたのですが、ReadWriteWeb でもこんな記事が書かれていました:
■ Faster - Why Constant Stress is Part of Our Future (ReadWriteWeb)
News blogging is probably one of the most stressful occupations you can have. First, you have to watch the crazy-fast moving, non-stop tech world all the time. News bloggers have thousands of feeds in their RSS readers. Staying on top of all that is not easy. In addition, you have to write well. It is not just the story, its how you present it that makes a difference. Creativity needs to be present whether you are sick or its rainy or you are simply not in the mood. Every day you need to watch the world and re-invent yourself.
ニュース系ブログのブロガーは、最もストレスの大きい職業の一つだ。第一に、あり得ない速さで動き続けるハイテク業界をウォッチし続けなければならない。ニュース系ブログをRSSで購読している人は多く、トップの座に座り続けるのは用意ではない。さらに、上手い文章を書く必要がある。単にストーリーを伝えるだけでなく、どう伝えるかによって違いが出るのだ。病気の日も、雨の日も、あるいは単に調子が悪い日も、クリエイティビティーが要求される。毎日世界に目を向けて、自分自身を変えていく必要があるのだ。
とニュース系のブログを続けることの大変さを述べた上で、「こんなことをずっと続けられるわけがない」と認めています(この辺、ライバル同士とはいえ同じテクノロジー系メジャーブログを運営する人々の間に仲間意識のようなものが垣間見えるかも)。しかしそれはブログが悪いのではなく、根本的な原因は「私たちが情報をリアルタイムで追うことに夢中になっているからだ」と指摘しています:
Lets face it, we are obsessed with real-time. We want more, and faster.
認めよう、私たちはリアルタイムという概念に取り付かれているのだと。私たちはもっと多くのものを、もっと速く、と要求している。
「『いま』なにしてる?」を尋ねる Twitter というサービスが爆発的なヒットになったのも、背景は同じだというのがこの記事の主張。そして速さやリアルタイムを追い続ける限り、ストレスを招くのは不可避だろう――と、さらにストレスを与えてくれるような結論になっています。思わず「24時間戦えますか?」という有名なコピーを思い出してしまいました。
個人的にはこの主張に同意するものの、1つ大切な点を指摘し忘れていると思います。それは「ネットの存在」(恐らく当然過ぎて、改めて書く必要もないと判断されたのだと思いますが)。仮に私たちが「もっと速く、もっと情報を」という心境になっていたとしても、ネットがなければそれに応えるのは難しかったでしょう。さらに物理的な距離や時間帯というものがクリアされ、世界中の人々が一堂に会することで、まさに「24時間動き続ける」という世界がネット上には広がっているわけですよね。私たちが日常生活を送る、物理的なオフタイムがある世界とは別に、24時間休まずに全力で何かを生み続ける世界が生まれている。それが人々に「リアルタイムの魅力(魔力?)」を与えているのではないかと思います。
僕がなぜネットでニュースを追ってしまうか、ブログを書いてしまうかという理由も、ネットの世界に魅了されてしまっているからという点にあると感じています。仮に現実世界だけで暮らしていきたいと思えば、普通に仕事をして家に帰り、風呂に入ってテレビを見て寝るだけで事足りるでしょう。しかしネットの世界にも橋頭堡を確保するというか、自分がいますよという存在感を示すために、ブログや Twitter、Flickr などといったライフストリーミングに精を出しているのだと思います。そしてネットの世界にいる自分は、24時間常に新しい刺激を受け続けることになります。
この状態、確かに中毒というか、何かに取り付かれているのかもしれないですね。ネットの世界なら当然なのですが、アクセスすれば世界のどこかに精一杯仕事している人を発見できて、「ああ、僕もこうしちゃいられない」という気分になります。恐らくしばらくすれば僕も、もしくは僕より下の世代が、現実世界のリズムとネット世界のリズムの両方をうまくバランスして生きていけるようになると思いますが、それまでは ReadWriteWeb の言う通り"Constant Stress is Part of Our Future"(常にストレスに晒されるのが私たちの未来)という状態が続くのかもしれません。
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