地味なニュースですが、インパクトは大きいかもしれません。皆さんご存知のロイターが、記事配信のためのAPIを公開したとのこと:
■ Reuters Frees Content with New API
ロイターラボ(Reuters Labs)が公開したAPIについて。通信社がラボを開設しているというのも驚きなのですが、ロイターが配信しているニュースを、API経由で取得可能とのこと(ただし非商業利用に限る)。このAPIを使用したサンプルとして、こんなページも登場しています:
■ Stingray Engineering: Reuters Spotlight API Demo
サンプルはよくあるブログパーツのような感じで、特に目新しさはないのですが、ロイターのニュースを自在に設置できるというのは嬉しいですね。残念ながら僕はプログラミングの知識がないので、このAPI自体の使い勝手などといった評価はできません。ので実際に使ってみたらいろいろ問題があるのかもしれませんが、「API経由でコンテンツを開放する」という動きは歓迎すべきものだと思います。
通信社が配信するコンテンツ(ニュース)は、「他の人々には配信できない」という性質のものではありません。当然ながらライバルも多いですし、ニュースの当事者が自ら情報発信を行う、ということが当たり前の時代になりました(ちなみに最近中国で起きた大地震の場合にも、米国では公的機関が情報発信するよりも早く、Twitter 上で情報が出回ったそうです:参考記事)。「教えてくれないなら、他の誰かに聞く」という消費者をつなぎとめるには、自らのコンテンツをできる限り取得・利用しやすい状態に置くことが必要でしょう。その意味で、API経由のニュース配信というのは当然の決断だと思います。
そういえば先日池田信夫Blogで
最近はロイターの日本語サイトが充実してきたので、リンクはなるべくここに張るようにしている。これも国内ニュースをもっと充実させれば、ウェブ軽視の新聞サイトより人気が出るのではないか。
という一節がありました(「日本の新聞サイトのリンクはなぜ切れるのか」より)。様々な事情はあれど、いまだにパーマリンクが設置できない日本の大手新聞サイトと、APIまで公開したロイター。このギャップが埋まり、逆に日本のメディアの方が海外の事例を引っ張る、というような状況が生まれて欲しいものですが。しかし日本の大手新聞は「オレ達にしか作れないコンテンツがある!」と信じているフシがあるので、コンテンツを利用しやすくすることに本当に力を入れるようになるのは、まだ先の話かもしれませんね。
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