というわけで昨日も書いた通り、昨夜はこんなイベントに参加していました:
■ シングルモルト余市・ブロガーミーティングのお知らせ (Agile Media Network)
ニッカウヰスキーが製造した「シングルモルト余市1987」がワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2008で世界最優秀賞「ワールド・ベスト・シングルモルトウイスキー」を受賞したとのことで、チーフブレンダーとしてシングルモルト余市1987の開発にあたった久光哲司さんのお話を聞きながら、すでに販売が終了しているこのお酒をテイスティングできるという内容。久光さんとそのお嬢さんの秘話(?)なども語られ、大満足のイベントでしたよ(単に旨い酒が飲めたから嬉しかったんだろうという話もありますが)。
お恥ずかしながら白州蒸溜所見学イベントに参加した際に初めて知ったのですが、ウイスキーは樽から出してすぐに瓶詰め>出荷というわけではなく、何種類かの原酒を混ぜ合わせてつくるのだそうです(シングルカスクという形で、1つの樽からのみ瓶詰めする場合もあり)。味も香りもそれぞれ異なる数種類の原酒があり、それをどのような比率で組み合わせて美味しいウイスキーをつくるか、そこがブレンダーという仕事の腕の見せ所というわけですね。
ニッカウヰスキーさんでは「二十歳(はたち)のウイスキー」というコンセプトで、20年以上熟成させた原酒を使って数量限定品をつくるということを数年前から行われているそうです。今回の「シングルモルト余市1987」もその一環で開発されたもので、通常の大量生産ラインにのらない商品なだけに久光さんにはフリーハンドが与えられていたとのこと(当然ながら、既製品の場合にはいろいろな制約があるのだとか)。往々にして「さぁ、自由にやっていいよ」と言われると逆にどうして良いか分からなくなってしまうものですが、久光さんはまず、芯になる「言葉」を決めたそうです。
その言葉とは「優雅で気品ある」というもの。「自由にやっていい」と言われたからといって闇雲に試してみてもダメで、イメージを固めて樽を選ぶ、という流れでスタートしたと仰っていました。そして数え切れないほどの配合とテイスティングを繰り返し、迷ったときには「優雅で気品ある」という言葉に立ち返って再び試行錯誤する、という結果誕生したのがシングルモルト余市1987だったとのこと。
「商品コンセプトが大事」とはよく言われることですが、長い商品開発の中でそれが有耶無耶にされてしまう、というのもよくあることです。特に既製品ではないものを創り出す場合、「ウケなかったらどうしよう」という不安からコンセプトよりも市場データの方が重視され、結果として八方美人的なモノ/サービスに落ち着いてしまう傾向が強いと言えるでしょう。シングルモルト余市1987の場合にはシンプルで力強い言葉があったこと、そしてそれが大事に守られたことが最優秀賞受賞という快挙を成し遂げた一因だったのかもしれません。
ちなみに前述の通り、「シングルモルト余市1987」は数量限定品だったため既に販売が終了しているのですが、WWA受賞を記念してノンチルフィルタード版が販売されるそうです(ちなみに今回も数量限定、1,350本のみ)。以下のリンク先で注文(申込者多数の場合は抽選)できますので、「優雅で気品ある」という言葉がどのように実現されたのか、ご興味のある方は是非どうぞ:
コメント