伊能忠敬が偉人として称えられているように、地図を作るというのは大変な事業です。調査には長い時間がかかり、完成した瞬間から古くなっていってしまう……それならその場所に馴染みのある人々に、自分たちで地図を作ってもらえば良い!ということで、ネットを通じて誰でも地図作成に参加できるというサービス"Google Map Maker"がリリースされました:
■ Google Map Maker: Crowdsourcing Cartography (ReadWriteWeb)
どこかで似たような話を聞いたことがあったような……思い出したら追記しようと思いますが、とにかく地図情報を誰でも投稿できるというサイト。仕組みは大きく異なりますが、イメージ的には「地図版 Wikipedia」といったところです。ReadWriteWeb のタイトルにある「地図作成クラウドソーシング」というのが適切な表現でしょうね。ただし現在は一部の地域(バハマやキプロス、ベトナムなど)しか対象になっておらず、日本のデータを入力することはできません。
操作は簡単で、普通に Google Maps を操作する感覚で対象地域を絞り、そこに追加したいモノ(地形や道路、施設など)を書き込めばOK。ただし一定以上ズームしないと編集機能が有効にならないようになっています。
例えばこちらは、最近 Google がデータセンターを増設中のアイスランド。首都レイキャビクにできた新しいレストラン(もちろんウソです)を追加してみましょう:
情報を追加するボタンは3つ。店舗や施設などを登録することを想定した"Placemark"と、道路や川を想定した"Line"、池や公園など広い地形を想定した"Polygon"があります。今回はレストランなので、"Placemark"を選んでみましょう。するとこのようにプルダウンメニューが現れ、追加しようとする施設のタイプを選択するようになります。
施設タイプを選択後、地図上にピンが刺せるようになるので、適切な場所をクリックします。すると上のように詳細入力のバルーンが表示されるので、情報を入力後に Save ボタンを押せばOK。
こちらはポリゴンを選択したところ。同じように、登録しようとするモノのタイプを選択し……
適切な図を描いて、詳細データを入力すればOK。上のスクリーンショットは、新しい公園を登録しようとしているところです(もちろん Save ボタンは押してませんよ)。またこうして自分が登録した情報の履歴は、"My MapMaker"というタブから確認することが可能になっています。
さらに他人が入力した情報を確認し、その正確性に関する情報の入力も可能。例えばこちらは、レイキャビク周辺で追加された情報を表示させたところ:
いくつかデータが入力されているのが分かりますね。どれも"Pending"ということで、正誤を判断中というステータスになっています。この中の1つ、B の"Laugar World Class"というジムを編集してみましょう:
こちらが入力画面。ご覧のように、データの正確性について投票したり、その判断の自信度(自分はここに住んでいる、よく分からないけど正しいように思える、など)まで入力することができるようになっています。また投稿されているデータの詳細や、編集履歴なども確認できるようになっていますね。
だいたいこんな感じ。まさしく Wikipedia と同じ発想で、情報入力からその正誤の判断までユーザーの手に任せてしまうシステムになっています。もちろん通常の Google Maps からは切り離されていますので、このシステムの導入によって Google Maps の正確性が劇的に改善されたり、逆に大きく損なわれたりということはありません。また一部地域にしか開放されていないので、その有効性がどこまで確認されるのかという疑問はありますが、クラウドソーシングという発想がどこまで通用するのか?を調べる1つの良い実験場になりそうな気がします。個人的には、逆に地域をごく限定して「吉祥寺マップ」「渋谷マップ」を作る(可能であればそれぞれのコミュニティサイトと連動する形で)という発想の方が上手く行くようにも感じますが……ともあれ、動向が気になるサービスです。
初めまして。
>どこかで似たような話を聞いたことがあったような
というのは、
「みんなで作ろうYahoo!地図」
http://waiwai.map.yahoo.co.jp/guide/rtmtop.html
ではないでしょうか?
投稿情報: ak | 2008/06/25 10:37