ネット広告の優れた点の1つは、閲覧者数が正確にカウントできるところ。それより信頼性はずっと下がるとはいえ、テレビやラジオも視聴者やリスナー数をある程度把握することができます。しかし屋外広告はというと、せいぜい目の前の通行者数を概算で出すのが関の山……だったのは昔の話になりそうです:
■ Billboards That Look Back (New York Times)
屋外広告にカメラをつけ、どんな人々が見てくれたかをカウントしてしまおうという発想について。Quividi という設立2年のベンチャー企業が進めているもので、既に欧州諸国やシンガポール、ニューヨーク等で実現されていることが報じられています。
カメラは通行人の顔を読み取り、数以外に以下のような属性を把握できるそうです:
- 広告をどれくらいの時間見ていたか
- 男性か女性か
- どのくらいの年齢か
- 人種(※現在はまだで、将来的に可能になるとのこと)
ちなみに画像を記録するのではなく、上記のような属性のみをデータとして保存するので、プライバシー問題とは無縁だとしています(まぁ、裏でコッソリ記録してるんでしょと勘ぐりたくなる気持ちもありますが)。また Quividi のゴールは、性別や年齢によって変化する屋外広告を作り出すことなのだとか。まさしく屋外広告をネット広告化しようとしている、といったところでしょうか。
一昔前までであれば、通行者数のカウントぐらいしか自動化できなかったでしょう。しかしご存知の通り、いまや顔を認識する技術が普通のデジカメにも搭載されるようになりましたし、「スマイルシャッター」などという機能まで可能になりました。また以前どこかで読んだのですが、複数人の表情を一瞬で把握して、ある広告がどのような感情を引き出したかを把握することも試みられているそうで、上記の Quividi 社の技術と組み合わされば「何人見たか、どんな人が見たか、どんな感情を抱かせたか、(さらに店内の監視カメラと組み合わせて)広告を見た人がお店に入って品物を購入したか」を把握するという、ネット広告を超えた機能まで持つことになるかもしれません。
ただしそこまでいくと、流石にプライバシー団体が黙っていないでしょうが(上記の New York Times の記事でも、既に様々な懸念が挙げられていることが報じられています)。しかし広告主や場所を提供する側にとっては喉から手が出るくらいであるはずのこの技術、何だかんだで進化・普及していくのではないでしょうか。
コメント