昨日の読売新聞(8月23日第7面)に、「紳士な借金取り」という謎の記事が載っていました。
景気が冷え込むスペインで、シルクハットにえんび服姿の借金取りが威力を発揮している。借金していることを近所や知人に知られたくないという借り手の心理を利用し、人目を引く格好で自宅を訪問して返済を求めるという。効果はてきめんで、この方法を採用した取り立て業者の回収成功率は約70%という。
とのこと。ロイターが配信した記事とのことで、元記事を探したところ、こちらが見つかりました:
■ In top hat and tails, Spanish debt agents prosper (Reuters)
こちらがその「シルクハットにえんび服姿の借金取り」だそうなのですが、よく見るとカバンには取り立て会社の名前("El Cobrador del Frac"、スペイン語で文字通り「シルクハットにえんび服姿の借金取り」という意味)が書いてありますね。これなら「何か仮装している不審者が来た」ではなく「借金取りが来た」と一目瞭然です:
さらに米国の Geek Squad っぽい専用車まで用意されていて、なかなかの徹底ぶり(ギーク・スクアッドって何?という方はこちら。特殊なユニフォームを用意するという点でも両者は共通しています):
といっても最初からこの格好で取り立てに行くわけではなく、最初はファックスを流したり、普通の格好の社員が訪問するとのこと。しかし返済に応じない時には……という流れだそうです。ちなみに回収は、(どこまで本当かは分かりませんが)全て法律に則って行っていると主張しています。
ただし当然ながら、消費者団体からは抗議の声が挙がっているとのこと。実際、こういった目立つ格好で取り立てに向かうことは、スペイン以外の多くの国々では許可されていないそうです(日本はどうなんでしょうか?)。しかしえんび服の場合、「正装しているだけです」と言えば言い逃れできてしまいそうですし(その目的は債務者を辱めることであっても)、微妙な線を上手くついているなぁという感じ。
もちろんグレーゾーンを悪用することは許されませんが、利用者の心理を考えた手法を追求するという点は参考に、いや反面教師になるかも?
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