日本と海外で、同時多発的に同じテーマの記事が現れるのを目にすることがあります。以下の記事も、まさにそんな例でした:
■ When will Local truly be on the web? (Russell Beattie’s Weblog)
タイトルは「ローカル(情報)が本当にウェブ上にあると言えるようになるのはいつの日か?」といった意味。ちなみに記事の最初に掲げられている写真は、Russell さんの近所にある公園の掲示板を撮影したもので、無数のローカル情報が昔ながらの手法で交換されているのだとか。これだけで「ああ、あの記事か」と頭に浮かんだ方も多いと思いますが、先日も触れた以下の記事を彷彿とさせる内容です:
■ 地方でネットの利用が進んでいない話 / (2) / (3) (北の大地から送る物欲日記)
どちらの記事も、ウェブには載らない情報が想像以上に多いことを指摘しています。別に示し合わせたわけでもないのに、同じようなタイミングで(あくまでも僕にとっての話ですが)目の前に現れてきたのは面白いところ。
Russell Beattie さんも hejihogu さん同様、「ローカル情報がウェブに載っていない」様々な事例を挙げているのですが、途中でこんな「実験」を呼びかけています:
You'd think by now that the utility of the Yellow Pages - you know, the book of business listings they give you for free every year - would be something that is just as good if not better online. But I find that if I'm looking something up - say trying to find where an appliance repair place close by is - I get more and better results from flipping through a book made of dead trees, than using Yahoo! Local or searching on Google Maps. I saw some people complaining about them the other day, and I think they're nuts. Or maybe they just think they get everything they need online and don't even bother to look at a Yellow Pages any more. But go open one up right now and you'll be amazed, believe me.
イエローページ(ほら、毎年タダでもらえる、職業別電話帳のことだよ)上の情報なんて、オンライン上の情報と同じかそれより劣っている、と思っていないかい?ところが、僕は何か(例えば近所にある家電修理店とか)を探す時、この紙でできた本をパラパラとめくってみる方が、Yahoo! ローカルや Google Maps を検索するよりも多くの、より質の高い情報を手に出来ることに気づいたんだ。こういったサイトについて文句を言う人を目にするけど、そんなのバカげてるね。そんな人々は、全ての情報がオンライン上で見つかると考えていて、イエローページを開こうなんて思わないのかもしれない。しかし僕を信じて、いますぐイエローページを開いてみて欲しい。きっとビックリすることだろう。
日本でも石原良純さんが登場するタウンページのCMが流れていますが、個人的には「困ったらタウンページを開こう!」というメッセージを聞くたびに、「いまさら電話帳を開く人もいないだろ」と思ってしまいます。しかし確かに、地元の小さな電気店や自転車屋が立派なウェブサイトを開いていたり、ウェブ広告にお金を出している確率も低いでしょうから、タウンページを開いてみるというのもまだまだ有効な手なのかもしれません(もちろん米国のイエローページと一概には比較できないだろうけど)。
あと10年、20年ぐらい経てば、こういったハイパーローカルな情報も全てオンライン化され、ブラウザがあれば全て事足りる時代になるのでしょうか。その可能性も高いとは思いますが、最近は何というか、情報が流れるレイヤーにも目を向けなければならないように感じます。例えば首相が辞任したという情報と、近所に腕の良い自転車屋がいるという情報は、明らかに全く異なるレイヤーで伝わるものでしょう(お隣さんとのお喋りで初めて首相辞任を知る、テレビ番組で近所のお店が紹介されるのを観る、といったケースももちろんあるでしょうが)。「その経路にウェブか含まれているかどうか」は副次的な問題で、ある情報が伝わる際にどんな人々が関わるか、どう関わるかといった点に注意しなければならないのでしょう。でなければ、何十年経っても「やっぱりローカル情報はタウンページ」という状況は変わっていかないように思います。
なんか当たり前のことを難しく考えている気がしますが。Russell Beattie さんのように、改めて現実の世界を見渡してみれば、意外な場所で有意義な情報流通が行われていることを目にするのかもしれません。
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