「ある喫茶店にて。ナプキンの裏側に書かれたビジネスモデルの図解が、いまや業界No.1となった○○社の出発点だった……」という伝説(?)を耳にすることがあると思いますが、実際手書きの図解には有意義なディスカッションをもたらす効果があるのだとか:
■ Human lessons from the back of the napkin (adaptive path)
"The Back of the Napkin"という本の著者、Dan Roam 氏が Adaptive Path を訪れて講演した時の様子が書かれています。この本、タイトル(「ナプキンの裏側」)が暗示するように「絵を描きながら考えよう!」という内容だそうで、ビジュアル・シンキング(視覚的思考)を実践する方法を解説してくれているとのこと。図解の効果についてはいまさら指摘するまでもないと思いますが、面白いのは以下のアドバイス:
“The more human the picture, the more human the response.”
「図が人間的であればあるほど、返ってくる反応も人間的なものになる」
ここで言う「人間的」とは、手書きによる雑然としたもののことを指しています。普通であれば、「手書きの図じゃ失礼だ」「プロフェッショナルに見えない」などと心配になってしまうものですが、
専用のソフトウェアなどを用いてあまりに完璧な図解を用意してしまうと、相手は逆に「騙そうとしてるんじゃないか?」と身構えてしまう。手書きの図解は、より本心を語っているという気にさせるものだ。人間は本質的に、不完全で自然なものに共感を覚えるものだ。
と解説されています。有意義な議論をしたければ、むしろパワポ等で清書してしまうのは逆効果だ、と。
確かに以前から、「グラフで人を騙せ!」「グラフに騙されるな!」的な書籍や新聞/雑誌/ネット記事は数多くあり、図解に厳しい目を向ける人は多いと思います(単に僕のパワポ作成能力が低いだけ、という話もあるけど)。真っ直ぐな線と美しい曲線で描かれた図は、気合いを感じる分だけ相手を身構えさせてしまう効果もあるのかも。一方、手書きについては以前のエントリ(これとかこれ)でも関連する話が出てきたように、より書き手自身の気持ちや本心に近い存在なのかもしれません。パワポではウソをつきやすいけど、ナプキンの裏側に図を描きながら説明するのは本心が出やすい、といったところでしょうか。
とはいっても、いきなり客先に持っていく資料を全て手書きで、というわけにはいきませんが。しかし社内で検討用に使う資料では、変にパワポで清書することを禁止してみると、有意義なディスカッションが増える効果が出たりしてね。
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