テレマティクス……という言葉がどの程度定着しているのかは微妙ですが、自動車に通信機能を組み合わせ、さらなる情報化を進めようという動きがあるのはご存知の通り。しかし具体的なサービスというと、「車内でネットができるようになる」「渋滞情報がよりきめ細かに分かるようになる」程度の話しか出てきていませんが、こんなアイデアも実用化されているとのこと:
■ Safety controls for parents of teen drivers (Springwise)
フォードが開発した"MyKey"というシステムについて。例えば子供や知り合いにクルマを貸してくれとせがまれた場合、貸してもいいけど無謀運転をされるのが心配だ、という時に威力を発揮するサービスです。何と、スピードやオーディオのボリュームを制限したり、シートベルトを装着しない限りオーディオの音を出なくしたり、ガス欠を事前に報知したりといった設定が可能になるとのこと。面白いことに、この設定はキーと結びつけられていて、例えば「子供に渡してあるキーが挿入された場合、スピードが100km以上出ないようにする」ということができるのだそうです。なので"MyKey"なわけですね。
しかしこんなシステムが搭載されたクルマ、若者は乗りたがらなくなり、フォードにとってはイメージダウンになりそうな気がするのですが。その裏には、こんな計算があるそうです:
Of course, as most parents know, anything that gives adults peace of mind is likely to meet with resistance in their teens. On the other hand, many parents surveyed for Ford by Harris Interactive said they'd let their kids drive more often if they were using MyKey—a fact that caused the proportion of teens who said they dislike the feature to drop from 67 to 36 percent.
もちろん、親ならば分かっていることだろうが、大人に安心をもたらすようなものは若者の抵抗に会う。一方で、Harris Interactive 社がフォードのために行った調査によると、多くの親は「MyKey システムがあるなら子供にクルマを貸す回数を増やしても良い」と考えているそうだ。若者にこの事実を知らせると、MyKey システムを嫌う割合は67%から36%に減った。
ということで、クルマの利用率を上げる効果があるかもしれない、と。若者にとっては、アメとムチが一緒になった仕組みのようです。
この話、なんとなく日本におけるケータイのフィルタリング論争を思い出してしまいました。テレマティクス技術が進化したら、例えばGPSと連動して「子供が運転している場合は一定の地域(ラブホテル街!?)には進入できないようにする」なんて設定も可能になるかもしれません。ただクルマを欲しがる/必要とする若者は減っているというデータがありますので、そんな「フィルタリング付き自動車」が登場しても問題になる可能性は低いでしょうが、他にも様々な「フィルタリング付き○○」が登場したりしてね。
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