相変わらず600ページ超もある『イスラエル人とは何か―ユダヤ人を含む超える真実』をゆっくり読み進めています。いま世界中から非難を浴びているイスラエルですが、今回の問題に関心がある方は是非読んでおくべき一冊だと思いますよ。読んだ上でイスラエルを擁護するか、非難するかは問わず、僕らが「イスラエル」や「ユダヤ人」という言葉から連想するイメージがいかに画一的で、ステレオタイプに満ちたものかということに気づくはず。
で、時事問題からは少し離れて、ちょっと興味深い話を。同書の中で「ハレディム」というグループが紹介されています。これはイスラエルの中でも「超」が付くほど宗教的な一派で、兵役に反対で免除されていたり、そもそもイスラエルという国家の建設にも反対していたり(神だけがユダヤ人を約束の地に導けると信じているため)といった人々とのこと。男性は宗教的な行事や経典の研究に忙殺されてしまうので生活能力に乏しく、女性に養ってもらう傾向が強いそうなのですが、そんなハレディムの男性に意外な職業が向いているそうです:
とはいえ、こういったいわば「経典の男たち」は、緻密な厳しい研究には慣れている。なにしろ日に12時間も、ややこしいタルムードの論理を追ったり、いろいろなラビの相反する意見を解読したりしているのだ。タルムードに書かれている問答というのは、話が一直線に進むわけではなく、複数のテーマが同時進行するうえ、書体もばらばら。まるで昔のチャットルームといったところ。だから、こうした男性は、分析力と直観力が養われていて、タルムードにある諸問題を細かく分けて考える力もついている。ということは、コンピュータ教師の目から見れば、ジャバなどのプログラミング言語を学ぶのに長けているということになる。「実際、トーラーというのは世界で最初のハイパーテキストなんです」とベンチャー投資家のヨッシ・バルディは言う。大富豪の彼は無宗教だが、ハレディムのソフトウェア会社に投資している。その会社のオーナーが「非常にやる気があって、長年のタルムード研究のおかげで頭が切れる」からだという。
「世界最古のハイパーテキスト」というのはあくまでも表現であって、実際にはどんなものか、どこまでハレディムの男性がプログラミングに長けているのか分かりませんが、なかなか興味深い話だと思います。逆にプログラミング能力が高い人は、タルムードを理解しやすかったりして?
冗談はさておき、この話は普段から /子供の頃から線形で思考するか/非線形で思考するかが、プログラミング能力に影響してくることを示しているように思います。まさかタルムードを持ち込むわけにはいきませんが、日本の義務教育の中でも何らかの「非線形」テキスト(マクルーハンの著作?)を採用したり、ネットを活用する授業を増やしたりすることがIT産業活性化につながる……なんてことはケータイ持ち込み禁止が確定したばかりでは言い出せないかも。
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