昨年「Google でヒトはバカになる」という記事も書いていた、お馴染み Nick Carr 御大が面白いことを言ってたのでちょっと紹介。
■ Realtime kills real space (Rough Type)
最近 Twitter のような、自分のいまの気持ちをリアルタイムで発信できるサービスが流行りだけど、それってリアルスペース(現実世界)を犠牲にしてるんじゃないのって話です。同じ席にいる知り合い同士が、お喋りをするでもなくケータイでメールを打っている(もしくは Twitter に書込みをしている)……なんて光景は、使われるサービスは時代によって違えど、かなり前から日本でも指摘されていたことですよね。
Realtime, you see, doesn't just change the nature of time, obliterating past and future. It annihilates real space. It removes us from three-dimensional space and places us in the two-dimensional space of the screen - the "intimate portable world" that increasingly encloses us. Depth is the lost dimension.
ご存知のように、リアルタイムは時間の性質を変えるだけでなく、過去も未来も無くしてしまう。リアルタイムはリアルスペース(現実世界)も壊滅させてしまう。私達から3次元世界を奪い去り、スクリーンの中の二次元世界へと追い込んでしまう。そこは親しい人々しかいない、ポータブルな世界であり、ますます私達の周囲を取り囲みつつある。「深さ」が失われた次元だ。
言葉遊びのようにも感じられますが、なかなか深いことを言っていると思います。リアルタイム(系サービス)の世界は、つながる相手の選べる、守られた世界。そこは「リアル」と称されつつ、本当の状態を書き込む義務はなく、自分を偽ることも可能。求めなければ、深い関わり合いをする必要もない――うーん、なんだか新聞の文化批評欄のようになってきました。
個人的には、リアルタイムの世界にも重要な価値があり、そこでしか生まれない人間関係というものも当然あると思います。しかしリアルタイムはリアルスペースの犠牲の上に成り立っているという Carr の指摘にドキッとさせられたことも事実。リアルスペースでのコミュニケーション・スキルや検索スキルが劣ってしまうことのないよう、両者をバランスさせるように心がけないといけないのでしょうね。
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