予想されていた動きではあるのですが、結構早く実現したと言えるかも。米 Amazon.com が一部地域でしか展開していない電子ブックリーダー"Kindle"上で、個人ブログの販売が可能になりました:
■ Kindle Publishing Now Open To All Blogs (TechCrunch)
Amazon が新たに展開した"Kindle Publishing for Blogs Beta"プログラムについて。現在 Kindle 上で購入+購読が可能なのは一部大手ブログのみなのですが、この機能が基本的に全部ブログに公開され、登録申請すれば誰でも自分のブログを売ることができるようになったという話。ただし、当然ながらいろいろ制約があります:
- 登録申請後、審査のために12時間から48時間を要する。Amazon のサイト上で購入が可能になるのは審査を通過したもののみ。
(※下記の通り、試しに自分でも登録してみたのですが、Amazon のページ上では「24時間から48時間待ってね」と表示されていました) - 販売価格は Amazon 側で決定される。また無料で売ることはできない。現在ほとんどのブログが月額$1.99で販売されているため、それに準ずるか?
- ブロガーの取り分は売上の30%のみ。
とのこと。また自分でも実際に登録してみたのですが、以下のような結果になりました:
- 日本からの登録も可能(アカウントは Amazon.com のものではなく、新たに登録して開設しなければならない)。登録の際、住所の入力を求められるが、米国外の住所でもOKだった。
- 売上の受け取り方法は、小切手と銀行振り込みの2種類のみ。小切手は米国内の住所であれば無料配送で、銀行振り込みは当然ながら米国の銀行口座のみ入力可能。ただし受け取り方法を「小切手」にしておけば、登録した住所が米国内でなくても特に怒られない。
- ブログは何個でも登録可能。登録の際、RSSのURL入力が求められる。「申請者=ブログのオーナーか」というチェックはこの時点ではなし(例の24時間から48時間の間でチェックされるのだろうけど)。
- 日本語のブログでも登録完了まで行ける(何語で書かれたブログかについては自己申請のみ)が、プレビューを表示させようとするとエラーになる。販売まで行われるかどうかは未確認(48時間お待ちを……)。
- 英語のブログは問題なく登録でき、プレビューまで表示できた。
- 登録したブログには個別の管理ページが作成され、当然ながら販売状況なども確認できる様子。
というわけで、こちらが登録した際に表示されたプレビュー画面。気の向いた時にしか書かない、自分の英語ブログで実験してみました:
おお、Kindle 上だときっとこんな感じで表示されるのでしょうね。当然ながら日本語フォントは全て文字化けしているのですが、簡単な登録手順でここまで出来るというのは何か感動です。いや、てきとーな内容なので本気で売ろうとは考えていませんが……。
実際、このプラットフォームでどこまで意味のある収入を手に出来るのか、そんな人がどれだけ誕生するのかという点についてはまだまだ未知数だと思います。しかしどんな形であれ、「自作コンテンツを簡単に売ることができるプラットフォーム」があるというのは大きな意味を持つでしょう。例えば有料メールマガジンなどを発行されている方々にとっては、検討に値するサービスになるのではないでしょうか。いずれは Kindle 経由でしかRSSが見れなくなるような仕組み(現在でも Kindle に渡すRSSのURLを切り分けて、それを秘密にしておくという対応が可能ですが)と組み合わせて、有料コンテンツ配信のプラットフォームとして広く利用されていく可能性があるのではと思います。何しろ Kindle で読めるということは、iPhone ユーザーが潜在的な市場になるということですからね。
< 追記 >
先ほど登録した2つのブログが、Amazon で購入できるようになっていました!そういうサービスだから当然なのですが、何だか驚きです。
まずは Polar Bear Blog。日本語だから Kindle では文字化けするはずですが、普通に売られています:
■ Polar Bear Blog (Kindle Edition)
これはちょっと問題かも。「何語で書かれているか」は自己申請ではなく、ちゃんとチェックして「Kindle で読める言語で書かれたブログ」しか登録できないようにする必要がありますね。って、登録したのはお前だろって話ですが……実験ですので、ご容赦いただければと(数日したら削除しようと思います)。
次に英語ブログの方:
■ Polar Bear Plus (Kindle Edition)
やはり価格は$1.99が一律で設定されるようですね。何だか自分のブログに値段が付いて売られている(しかも Amazon で)というのは不思議な気分です。レビューを書かれる作家の緊張感が少し分かりました(笑)
< 追記2 >
「登録したブログが、ユーザー本人のものかどうかをチェックしているのか」という点は疑問として残されたままだったのですが、どうやら機械的なチェックは行われておらず、ニセの登録ができてしまう状態だったようです:
■ Kindleは、このブログをこうやって盗ませている (TechCrunch Japan)
僕はさすがに恐くて他人のブログは登録しなかったのですが、あえて「実験」してみた方がいて、あっさり認可されてしまったのだとか。確かに手続きを簡略にするためとはいえ、これはちょっと……きちんと対策が行われれば良いのですが。
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