「売名だ!」と言われてしまうかもしれないけど、個人的には良い話だと思います:
■ 新型インフルエンザで休校の生徒にWebで無料学習支援 (ITmedia News)
がくげい(大阪市北区)は5月18日、新型インフルエンザで休校措置を実施している地域の小中学生に対し、Webを利用した学習支援サービスをスタートした。料金は無料。
がくげいが通常は有料で提供しているサービスを、休校措置が実施されている地域の小中学生に限り無料で提供しますよ、という話。以下のリンクが、実際に無料提供されるサービスとなります:
■ 新型インフルエンザによる休校で自宅待機になる小・中学生への学習支援コーナー (Yahoo!学習)
実際、大阪の方では1週間程度休校になる小中学校が出ていますから、こういったEラーニングの提供は大きな価値があるでしょう。まぁ実際にやるかどうかは子供たちに任されているのですが、これがEラーニング定着に向けての第一歩になったりして。
でふと思い出したのですが、「破壊的イノベーション」理論で有名なクリステンセン教授がこんな本を出していまして:
以前シロクマ日報でも紹介したのですが、クリステンセン教授は「Eラーニングによる生徒毎にカスタマイズされた授業」が教育改革のカギになると主張しているわけですね。いま学校で行われているのは、100年前から変らないマスラーニングであり、これを生徒個々人に合わせたスタイルに変化させる必要があると。
で、この主張がどこまで正しいのかはさておき、実際にEラーニングを導入しようとしても現場の抵抗が激しいだろうとクリステンセン教授は予想します。ではどうするか?破壊的イノベーションの場合と同様、最初に新しいことが受け入れられるのは「無消費」の世界(それまで当該のモノやサービスが利用されてこなかった領域)であり、「教育における無消費」として以下のような例を挙げています:
一見すると、アメリカの学校教育にはほとんど無消費は存在しないため、破壊は教育が行き届いていない途上国にしか起こらないと考える人がいるかもしれない。何と言ってもアメリカの子どもたちには、就学が義務づけられているのだから。だがそうは言っても、アメリカの学校の教室レベルで見れば、コンピュータベースの学習が根づくことができそうな無消費の領域はたくさんある。何もしないでいることに甘んじるしかない無消費の状況の例としては、APをはじめとする特別コース、幅広い教育サービスを提供することができない小規模学校や農村部・都市部の学校、卒業するために科目の再履修が必要な生徒のための「単位復活」、普通学校の進度についていけないホームスクール(自宅学習)の生徒、特別な個人指導を必要とする生徒、未就園児などがある。コンピュータベースの学習は、すでにこうした足がかり的市場では根づいており、予測通りのペースで「市場シェア」を獲得している。すべての破壊と同じく、最初はレーダー上の輝点として現れ、それから主流派が一見どこからどもなくやってきて急速に採用し始めるのだ。
今回の「インフルエンザによる突発的・長期的休校」は、こうした無消費の領域に含めることができるのではないでしょうか。これがきっかけで生徒や先生が「Eラーニングも良いかも」という心境になれば(もしかしたら「休校+Eラーニング」という状況を経験した方が成績が上がった、なんて調査結果が出たりして)、次は病気療養している生徒や不登校の生徒などのケースで活用してみようか、という気分になるはずです。次に夏休みの代わりとして、補講の代わりとして……最後には本当の授業でも「僕はEラーニングのコースを選びます」というのが認められるようになる、と。
まぁそんなに上手く進むはずもありませんが、インフルエンザ対策として企業内ではWEB会議システムが注目を浴びているなんて話もありますし、意外なものが世に出てくるきっかけとなるかもしれません。もちろん危機に便乗するようなビジネス(不安を煽って意味のない漢方薬を買わせるとか)はお断りですが、冒頭のがくげいのような例に続く企業が現れて欲しいと思います。
無料っていうのがいいですね!自宅待機になっている中高生が、遊びあるいてるというニュースがありましたが、自宅で授業ができれば、それを受講しないと欠席扱いになるというようになれば、新型インフルエンザ対策にもなりますね。
投稿情報: mako | 2009/05/20 08:41