くどいですが僕が初めてインターネットに触れたのは1995年のことで、その頃は限られた情報しか探すことはできなかったのですが、今ではネットで探せない情報はないという状況になりつつあります。で、表題の件ですが、今回なんと百年戦争に参加した英国兵士の情報がネット上に公開されたとのこと:
■ Hundred Years War soldier records put online (Computeractive)
百年戦争といってもボトムズの方ではなく、史実の方の百年戦争(1337年~1453年)です。ジャンヌ・ダルクで有名な戦争ですね。このデータベースは Reading University と Southampton University の2つの大学の研究者らによってまとめられたもので、1369年から1453年にかけての英国(イングランド王国)側の資料をベースにしたものとのこと。従って戦争全体を網羅しているわけではないのですが、それでも約25万人分のデータが集められているそうです。実際にどんなデータがあるかというと:
People can use the database to identify where individual soldiers fought and for how long. They can also see who advanced in rank as a result of military success, which campaigns they fought in, what they were paid and who was off work sick. The most modest, youngest and those who were also said to ride the fastest will also be listed.
このデータベースを通じて、個々の兵士がどこでどのくらいの期間戦ったのかを確認することができる。また戦功により階級が上がったのか、どの会戦に参加していたのか、どんな支給を受けていたのか、病欠していたのかといった情報までも得ることが可能である。兵士中で最も質素だった者、最も若かった者、最も速い馬に乗っていると言われた者などといった情報も掲載される予定。
というわけで、実際にデータベースを検索してみたい方はこちらからどうぞ:
■ The Soldier in Later Medieval England
例えばファーストネームが"John"さんのデータを"Muster roll database"(マスターロール=軍隊で使われた点呼名簿)で確認してみたところ、こんな結果が出てきました:
いやいやいや、兵士の階級や指揮官の名前などが分かったところで僕にはどうしようもないわけですが。しかしプロ/アマ問わず、歴史家として活動していらっしゃる方々にとっては貴重な情報になるのかもしれません。ちなみに単なるデータの羅列ではなく、興味深い経歴を持つ兵士をピックアップして詳しく解説した「今月の兵士」なるコーナーもあるので、こちらを読んでみるのも楽しいかも(残念ながらコーナーのタイトルは「兵士のプロフィール」という平凡なものに変更されてしまいましたが)。
「これまで限られた専門家にしかアクセスできなかったデータを一般に公開したところ、門外漢の人々によって斬新な手法によるデータ解析が進んだ」という例が過去に数多く存在します。今回の「百年戦争のイングランド王国兵士データ」についても、ここにアクセスした世界中の人々の中から、思いもよらなかった発見が生まれるという展開を期待したいですね。
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