これは「利き酒」ならぬ「利き小説」といったところでしょうか。誰が書いたのか分からない短編集"Anonthology"(明らかに「匿名(アノニマス)」+「作品集(アンソロジー)」の造語ですね)が公開されています:
■ Publisher asks readers to 'name that author' (Springwise)
HarperCollins が無料で公開しているサイトです。中央にビューワーが埋め込まれていますが、これが"Anonthology"なわけですね(収められている作品は9編)。匿名といっても完全に著者が隠されているわけではなく、表紙には以下のように、寄稿した著者の名前が掲載されています:
しかし表紙をめくって目次を見てみると、ご覧の通り、著者名のところが黒く塗りつぶされています:
で、これを読んで誰がどの作品を書いたのか考えてもらう、と。サイトにはご丁寧に、ユーザーがディスカッションするための掲示板コーナーまで設置されています。うーん、スタイルに特徴がある作家さんなら簡単でしょうが、なかなか9人を特定するというのは難しいかも。
ところで、『ハリー・ポッター』のようないまでは超有名となった作品でも、最初はいくつもの出版社に出版を断られたという経緯があります。またどこで読んだか忘れてしまったのですが、過去の名作と呼ばれる文学作品の冒頭数章を抜粋・出版社に郵送して「出版してくれ」と頼んだところ、(「ふざけた遊びをするな」ではなく)「クオリティが低いからダメ」と断ってきた会社がいくつもあったのだとか。ということは、「優れた作家である」というバイアスがかかると、平凡な作品でも名作に感じられてしまう――あるいはその逆もあり得ると。もしかしたらこの"Anonthology"、その辺の事実を浮き彫りにしてしまうかも?いや、読んでみたらつまらなかったということではないですよ。
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