シロクマ日報の方でも書きましたが、昨夜のNHKスペシャルがほどよく憂鬱な内容でした。日本の将来的に:
■ NHKスペシャル|自動車革命 第2回 スモール・ハンドレッド 新たな挑戦
中国の農村部で「電気自動車ブーム」が起きている。町工場が雨後のタケノコのように生まれ、今まで自動車と縁のなかった層が新たな市場として活気づいている。新興メーカー中には、ヨーロッパに進出するなど、自動車メーカーと市場争いを繰り広げるところも出てきた。
ちょうどEVについて調査系のお仕事をさせていただいていたので、まったくの初耳という話は少なかったのですが、想像より中国のEVメーカーに活力があったことが驚きでした。もちろん番組の演出でそう見えているだけかもしれませんが、EVの領域で中国メーカーが世界を席巻する、という未来もゼロではないと思います。杞憂か、もしくは日本が自動車に代わる基幹産業を生み出せるというのであればそれで良いのですけれどね。
で、その辺に立ち入ると泥沼にはまるので話を避けるとして、番組の中で紹介されていた「REVA」(インド発のEVメーカー)の英国での売り方がなかなか秀逸でした。題して「リアル Pay Per Post」といったところでしょうか。
Pay Per Post とは、お金を払ってブロガーに提灯記事を書いてもらうことですね。別に提灯記事ではなく、内容について完全にブロガーの自由であっても、「1記事いくら」であれば Pay Per Post と呼ばれることが多いです。で、REVAのケースですが、番組内で以下のようなシーンがありました:
- 初老の男性が、若い女性と握手をするシーンから始まる。ふたりは初対面のよう。
- しかし彼らはおもむろにクルマ(REVAのEV)に乗り込む。女性が運転席側で、男性が助手席側。女性は「これがあなたのREVAですか?」と尋ね、男性が「ええそうです」と答えるので、クルマは男性の持ち物らしいことが分かる。
- 男性が「燃費はいいですよ。1kmで1円ぐらいです」などいったREVAの説明をしながらドライブが続く。途中、街中の充電ステーションで充電してみせるシーンも。
- そしてナレーション。「REVAは国内にショールームを持ちません。興味がある人は所有者に試乗させてもらうことができ、所有者には1,500円の謝礼が支払われます」とのこと。
メモを取りながら見ていたわけではないので完全にこの通りではないと思いますが、なかなか考えられた手法ではないでしょうか。要はセールスマンが来店客に売り込みをかけるという従来のやり方ではなく、所有者という消費者が他の消費者にクチコミで評価を伝えると。クチコミ評価の効果についてはWEBサービスで立証されていますし、初対面の人間が出会うことによるトラブルというリスクさえなんとかできれば、極めて効果的なやり方だと思います。さらにEVという、内燃機関自動車とは(姿は似ていても)まったく異なる乗り物を買おうとしているのですから、実際に所有している人々から感想を聞けるというのは購入検討者にとっても魅力的なはず。
しかしこれ、REVAを所有してみた感想をブログに書くか直接伝えるかの違いだけで、実質的に「1件いくら」は変わりないですよね。「誰が誰に会った後、購入に至ったか」というデータはちゃんとREVA側で記録されているでしょうから、「コンバージョン率」の良い所有者に試乗を依頼するという操作もできますし(試乗の振り分けをREVA側で行っている場合ですが)。ただクルマという大きな商品でこれを実現しているというのは、なかなか大胆だなと感じた次第でした。
実は彼らのホームページも「クチコミ」を意識した作りになっていて、トップページでご覧のように、様々な人々の声を聞けるようになっています。
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