「ルールを守る」という言葉には、通常であればネガティブなイメージがつきまとうのではないでしょうか。その理由は単純で、「ルールを守らなければ罰が与えられる」というのが通常のパターンだからでしょう。それでは発想を転換して、、「ルールを守る」というのを楽しい行為にしたらどうなるのか――スウェーデンでこんな実験が行われたそうです:
■ The results of the speed camera lottery are out (Nudge blog)
フォルクスワーゲンが行っている"Fun Theory"(楽しさで人々の行動を変える、という取り組み。こちらの記事が参考になります)の一環として行われたもの。米国のKevin Richardsonという方のアイデアによるもので、「道路の制限速度を守ることを楽しい行為にできないだろうか?」という発想が出発点となっています。
それではどうやって「制限速度を守る」という、普通であれば面白くも何ともない(などと言ってはいけませんが)行為を面白くするのか。次の紹介ビデオを見れば一目瞭然だと思いますが、スピードカメラで通行するクルマの速度を測り、制限速度を守っているクルマに賞金が当たるようにするという仕組みが用いられたそうです:
スピードカメラによる測定と、宝くじ(Lottery)を組み合わせるというアイデアなので"Speed Camera Lottery"という名前なわけですね。抽選の確率など、詳しいことは不明ですが、とにかく実際にスウェーデンの街中で実施してしまったというのがスゴイです。
で、結果はどうなったのか――ビデオでも紹介されていますが、制限速度30キロの道路で実験したところ、"Speed Camera Lottery"設置前は平均で32キロだった通行車の速度が、設置後は平均25キロにまで下がったとのこと。機械が目新しくて速度を緩めたんじゃないの?とか、当選確率が低いとそのうち元通りになってしまうんじゃないの?などのツッコミは考えられますが、とにかく実際に効果が出たという点には注目が必要でしょう。
罰でルールを守らせるのではなく、楽しさでルールが守られるようにする。逆転の発想ですが、他に応用してみる価値はあるかもしれません。
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