昨年末にKNN神田さんの主催で行われた「ソーシャルメディア忘年会」。その際にご一緒させていただいた、TBSの山脇伸介さんからご著書『Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム』をいただきましたので、ちょっと紹介&書評などを。
本書はタイトルの通り、日本でも火がつき始めたSNS"Facebook"を解説した本。解説書といっても操作方法に特化しているもの・ビジネスでの利用法を考えるものなど様々ですが、本書は山脇さんご本人の体験(2007年にニューヨーク大学に留学してFacebookの盛り上がりを実感)をベースに、Facebookのこれまでと社会への影響、特にメディアに与えるインパクトについて解説した一冊となります。
まず読み始めて感じたのが「文章がうまいなぁー」という印象。非常に読みやすくて、その上思わず引きずり込まれるようなテンポがあります。普通のネット系解説書ではあまり感じられない文章かも。山脇さんがテレビ畑の人だから……というのは偏見だと分かっていますが、ちょっとずるいかも(笑)。
新しいテクノロジーが社会に定着しようとする時、その外側にいる人々は、内側で何が起きているのかハッキリと見ることができない場合があります。Facebookもそんなテクノロジーの1つで、外側にいる人々から見れば「Mixiと何が違うの?」「リアルタイムのコミュニケーションって、Twitterで十分じゃん」と感じられることもあるのではないでしょうか。そんな場合にはいくら操作方法を教えられても、儲け話を聞かされても、新たな可能性に胸が躍るということにはならないはずです。
しかし本書には、べつに"Face"bookの本だからというわけではないのですが「顔の見える人々」が登場します。CEOであるマーク・ザッカーバーグのFacebook創業ストーリーをはじめとして、Facebookを個人として/企業の中で使っている人々、そして山脇さんご自身の体験談。もちろん理論的な考察も多いのですが、それに加えてこうした話が展開されることで、具体的なイメージを実感することができるでしょう。「Facebookは6億人のユーザーを抱える、1つの国家だ!」などという陳腐なキーワードを振り回されるよりも、
フェイスブックには、いつもチェックしていなければ気が済まない中毒的な要素がある。しかも、それを見ていなければ実生活にも支障をきたす。待ち合わせに来ない友人に電話をかけたら「さっき、フェイスブックに『行けなくなった』と書き込んでおいたんだけど」と言われた時には、本当に驚いた。そんなこんなで、フェイスブックは私の生活に欠かせないものになっていった。
(「はじめに」より)
という山脇さんの言葉(そして本書に掲載されている様々なエピソード)を聞いた方が、いま何か大きな変化が起きようとしているのだという気持ちにさせられるはずです。
一方で本書には、Facebookのこれまでの歩みや基本的な機能に関する説明など、ベースとなる知識やデータもきちんと収められています。「ソーシャルメディア忘年会」でお会いした時には、確か「まだ原稿ぜんぜん書けてないんですよ~」って言ってたはずなのに(笑)。これからFacebookを始めるという方にも、最近始めたという方にも、Facebookをより深く理解させてくれる一冊になってくれることでしょう。
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